2016 Fiscal Year Research-status Report
場面遷移ネットを用いた大規模産業システムのモデル化・評価手法
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16K06198
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Research Institution | Aichi University of Technology |
Principal Investigator |
舘山 武史 愛知工科大学, 工学部, 教授(移行) (70336527)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報システム / 大規模システム / 離散・連続混合システム / 場面遷移ネット / system of systems / モデリング / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,System of Systems(SoS)の概念の対象となるような複雑・大規模システムのサブシステムを多種多様な既存手法を用いて個々にモデル化し,離散・連続混合システムのモデリング・シミュレーションを可能とする場面遷移ネットによってこれらを統合することにより,相互作用関係の表現を実現する.また,SoSの動作確認および最適化を容易に可能とすることを目的とした,汎用的なツールを開発することを目標としている. 初年度となる平成28年度は,まず申請者が開発中の「場面遷移ネットGUIシミュレータ」を,他の外部プログラム(サブモデルのシミュレータ)とデータの入出力の通信を可能とするために,外部プログラムと場面遷移ネットで時系列で変化するシステムの変数を共有可能となるように拡張を行った.また,場面遷移ネットの感覚的な操作を可能とすることを目的として,タッチパネルによる操作が可能となるように拡張を行った. また,計算機の計算負荷を分散させることを目的として,複数の計算機でネットワークを構築し,場面遷移ネットとクラウドを通じて計算機間のデータの送受信を可能とするシステムの基礎を構築し,動作確認を行った.加えて,大規模な場面遷移ネットの演算処理を高速実行することを目標として,GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)を用いた計算機環境の基盤を構築した. また,複数工場間の搬送・生産スケジューリング,および工場の作業者の作業プロセスを例題としてモデリング・シミュレーションを行い,提案手法の動作確認を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった,シミュレーションモデルの中心となる場面遷移ネットモデルと,他のシミュレータのモデルとの連携を可能とするシステムの基盤を構築することができた.目標とする大規模システムのシミュレーションを効率的に実行するためには,さらなる計算アルゴリズム等の研究と実装実験が必要となる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度からは,まずシンプルなサブモデルを複数設定し,サブモデルの相互作用関係を場面遷移ネットによって表現する手法を開発する.また、実在の大型機械のメンテナンス現場をモデルとした仮想的な大規模施設を想定し,市販シミュレータ,自作のシステム最適化プログラムおよび場面遷移ネットを連携させ,大規模システムのモデル化,シミュレーションおよび最適化を目指す.具体的には,実在の大型機械のメンテナンス現場を基とした仮想的な大規模施設を想定し,場面遷移ネットおよび複数のシミュレータを組み合わせ,モデリングおよびシミュレーションを行う.メンテナンス現場のモデルは,①作業ごとに異なる技能レベルを持つ作業者モデル,②メンテナンス対象となるジェットエンジンのモデル,③作業現場環境(レイアウト,作業ロボット,工具など)のモデル,④ライフサイクルモデル(LCAソフトウェアで記述),⑤スケジューリングアルゴリズムで構成されており,それぞれをC言語,物理シミュレータ,MATLAB,ロボットシミュレータなど,複数のシミュレータを組み合わせて記述する.これにより,場面遷移ネットを用いて多種多様なシミュレータの相互作用をモデル化可能とすることを目指す.同次に,開発中のGPGPUを導入したシミュレーションシステムによって,場面遷移ネットの演算の高速化を実現する. また,開発中のシミュレーションシステムにシステム最適化プログラムを追加し,多数の評価軸の観点からスケジュール,レイアウト等の最適化を行う機能を追加する.本検証では,メンテナンス作業の効率性,作業者の技能教育,環境への影響,作業コスト(消費エネルギ等)などの評価値をそれぞれのサブシステムのシミュレータで算出し,遺伝アルゴリズム等を用いた多目的最適化によって,システムを最適化可能とすることを目指す.
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Causes of Carryover |
購入した大規模計算用計算機がバージョンアップにより価格が変動したことと,配分額を考慮して大型タッチパネル液晶パネル等の計算機周辺機器の導入を見合わせたため,3779円の残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金の3779円の予算は,平成29年度の予算と合わせ,28年度に導入を見合わせた計算機周辺機器の導入に使用する予定である.
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