2016 Fiscal Year Research-status Report
動的変化を伴う結合力学系の不変項抽出による機能共創に関する研究
Project/Area Number |
16K06200
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻田 勝吉 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (20252603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸本 直子 摂南大学, 理工学部, 准教授 (60450714)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 結合力学系 / 共創システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動的変化を伴う結合力学系に対して、システムのマクロな機能発現のための秩序形成原理の構築と、多様体理論に基づくミクロなエージェント間の相互作用の不変項および特異変数の抽出による共創システム設計原理の構築を目指している。そして「動的変化を伴う結合力学系」として、次の二つの例題を設定した。一つは機械-機械システムの例として大型宇宙展開膜面構造物の地上試験用重力補償システムによる展開挙動解析であり、他方は人-機械システムの例として人の起立・屈曲・着座の際の機械による運動支援システムにおけるシステムの挙動解析である。初期計画段階では、以下のような解決すべき問題点を掲げて研究を開始した。 (1)実システムとしての結合力学系の協調制御問題の数理モデル化 (2)結合力学系のもつ不変項あるいは特異変数の抽出 (3)共創システム設計原理の構築と実装 計画初年度である平成28年度は、宇宙機の伸展型構造物の複雑な動特性を実験的に解析し、重力補償に関しては干渉系の制御機能を有し、一方、構造物の展開挙動においては支持システムの非干渉化を両立させる統一的な協調制御変数をシミュレーション解析を元に抽出した。また、人の起立・屈曲・着座の際の運動においては、人の運動意思に対して、干渉系となる外的要因と、被支援者の身体の自律運動に関する非干渉系となる要因の双方の分離をモーションキャプチャデータおよび力学構造の解析を基にして行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった平成28年度における第一課題、すなわち「機械-機械システム」の例としての大型宇宙展開膜面構造物の地上試験用重力補償システムと、「人-機械システム」の例としての人の起立・屈曲・着座の際の機械による運動支援システムという、二つの一見全く異なるシステムの力学構造を解析し、協調システムとしての力学的な干渉系/非干渉系の各機能発現の条件を解析する段階はおおむね成果を挙げることができた。 宇宙用展開構造物の地上試験用重力補償システムにおける力学的干渉系/非干渉系は、無重力空間における展開運動時の振動モードと剛体的展開運動モードにおける不動点の存在と近似境界条件下でのモード遷移現象を力学シミュレーションにより明らかにし、不変項の抽出を行った。一方、人の起立・屈曲・着座運動における支持具と人との力学的相互作用をモーションキャプチャおよびフォースプレートを用いて計測し、モード解析を通して、随意的な運動状態遷移モードと支持具との干渉による運動拘束モードを求め、分離することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の成果を元に、各結合力学系としての機械-機械システムおよび人-機械システムにおける要求機能としての非干渉系支援機能および干渉系ミニマムインタラクションによるスキルフルな支援機能における不変項の抽出と特異変数に対する力学構造解析を行う。今後の計画を次に示す。 (1) 動的UCM手法や商多様体理論など多自由度非線形ダイナミカルシステム解析手法を用いて、多主体力学系の特異変数の抽出と情報圧縮原理を導く。 (2) 複数台の群ロボットを用いた下方支持システムと力システムを用いて地上試験の検証をおこなうため、実際の伸展構造物の協調支持制御に着手する。 (3) 人の起立・屈曲・着座の際の運動支援装置の試作機を製作し、抽出された特異変数を制御変数とした制御系の開発を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度に作成する予定であった宇宙用展開構造物の地上試験ロボットシステムの実験装置において、ロボット駆動部分の設計の見直しにより、安価に製作することができたため、該当部分の部品代相当額が残額として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度、ロボットを用いた宇宙用展開構造物の展開試験と展開動作の計測用に被接触変位計測装置を購入する予定であるが、前年度残額を用いて、計測点を増加させて計測精度を上げるとともに、予算を消化する計画である。
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Research Products
(3 results)