2018 Fiscal Year Research-status Report
ウェアラブル非侵襲型生体制御系モニタリング装置の開発
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16K06205
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
菊池 誠 茨城工業高等専門学校, 国際創造工学科, 教授 (20270217)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウェアラブルデバイス / 非侵襲計測 / 生体制御系 / モニタリング / ニューラルネットワーク / システム同定 / モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
スマートホンに代表される携帯端末の充実や普及は著しく、これらの機器は既に生活で重要な役割を果たしている。とは言え、これらは気軽に身に着けられる大きさと重さとは言えない。近年ではそれらの携帯端末と数メートル以内の近距離通信を行い情報を表示しながら、携帯端末の操作を可能にする腕時計程の大きさの小型端末が補助装置として利用されている。そしてこれらを利用した一般利用者向けの簡易的な生体計測機器の開発が進んでいる。この補助的な小型端末装置、携帯端末、クラウドサーバが連携するアプリケーション開発は、大手IT企業だけではなく、大学・研究機関、ベンチャー企業等に広がっている。このような動向の中で、本研究では簡易型生体モニタリング装置の提案、開発、そのアルゴリズムの提案や検証を目指してきた。その中でも生体情報を処理するアルゴリズムの開発は特に重要であり、その能力がウェアラブル装置の性能や大きさに影響を与えると考えた。また最近の傾向として通信回線の高速化により、補助小型端末装置または携帯端末で採取した生体情報をクラウド上の処理系に送り、ユーザーの状態を推定してクラス分けした結果を短時間で携帯端末又は補助小型端末装置に送信する技術が可能となっている。この背景を踏まえて該当年度は、これまで採取した生体情報を素材として、複数の畳み込み層をもつ多層の階層型ニューラルネットワークを利用することで、従来ではほぼ同じ傾向の信号群と考えられていた生体情報が実際には短時間で変化し続けていることを示し、これまで差別化できていなかった特徴の違いを明らかにできることを示した。また、この処理系と従来のパラメトリックな同定法を併用することで、従来と同じタイプの分析結果を導き出す時間も短縮できることを示した。更に生体情報の解析方法についても継続して考察を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的にはおおむね順調であったが、当初に発生した遅れが残る結果となった。これまでの進捗状況は昨年度までの報告のとおりであるが、対象分野の進歩が想定されたよりも速く、想定した内容を計画通りに遂行してもその結果が時代遅れになることが予想されたため、当初の研究内容の中で重要な部分に焦点を絞り研究を進めることとした。具体的にはヒトの識別レベルでは差別化できないような生体信号の微小変化を高い精度でクラス分けできる階層型ニューラルネットワークと従来の同定手法とを併用するハイブリッド型の同定手法を研究した。その結果、今回着目した部分については、作業はおおむね順調に進み、当該年度当初の目的を達成できたと思われる。現在、遅れを回復するために作業を進めているが、この影響で分析や考察が遅れており、前年度分の成果を公表するプロセスに遅れが生じている。今後とも目的達成を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は平成28年度に生じた物品購入の遅延により初期データの収集作業が遅れた影響で研究の進捗がやや遅れており、加えて平成29年度後半から30年度にかけて生じた他業務の影響を理由として、補助事業期間延長を申請して承認された。今後は対象分野の進歩状況を考慮に入れながら、引き続き残された作業を速やかに実施する予定である。具体的には平成30年度に構築した階層型ニューラルネットワークと従来の同定手法とを併用するハイブリッド型の同定システムに改良を加えて、これまで収集した生体情報を効率的に処理できる実用的なアルゴリズムを目指す。更に一般的な環境下で日常動作に適応する信号処理系を構築することで、日常生活の環境の下で身体制御系の状態を評価できるシステムの提案及び提供を目指す。最終的には装置の小型化や測定法の改良を重ねて、低コストと使いやすさを考慮したシステム構成を目指す。
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Causes of Carryover |
172円が生じた理由は物品購入の際、市場での価格変動等により、想定した価格と実際の価格との間に差異が生じたためである。
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Research Products
(1 results)