2016 Fiscal Year Research-status Report
可変容量直列補償回路を用いた高効率非接触給電システム
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16K06207
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
只野 博 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30394448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 高範 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (50545928)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 非接触給電 / SiC-MOSFET / 可変容量 / GCSC / 力率 / スパイラルコイル |
Outline of Annual Research Achievements |
85kHzで動作する非接触給電用コイルを設計し、その位置ずれに対するインダクタンス値の変動に関し、シミュレーションを行った。検討したコイルは、スパイラル型とソレノイド型である。シミュレーションと実測により、スパイラル型は結合度を高くすることができるが、位置ずれに対する変動が大きいことが分かった。例えばコイルサイズの80%の水平位置ずれに対し、スパイラルコイルは結合度が約0.23から0.01へ変化し、ソレノイドコイルは0.18から0.1へ変化した。従って、結合度変動の大きいスパイラルコイルにGCSCを適用することで結合度の補償ができれば、システム効率の向上が期待できる。以上より、本研究開発では、スパイラルコイルを主対象として研究を行った。 試作したスパイラルコイルを用いて非接触給電実験を行った。実験に用いたシステムは300Wのシステムである。送信部はSiC-MOSFETを用いたフルブリッジ回路で、GCSCを用いた可変容量補償回路(スイッチとしてSiC-MOSFET使用)の効果を評価した。回路解析により、効率や電力調整を行うためには、2次側を固定コンデンサとし、1次側にGCSCを用いた可変容量を設置することが有効であることが分かり、試作システムは1次側にGCSCを有するシステムとした。 1次側にGCSCを設けた実験では、その位相制御によりシステムの力率を任意に制御することができ、出力電力の調整が可能となることを明らかにした。また、位置ずれに対しては高力率を維持する様に容量を調整することで、インバータの出力力率が調整でき、常に高力率での運転が実現できることが分かった。以上のように、GCSCを用いた非接触給電システムは、高効率電力伝送が可能であることが実験的に確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は、おおむね順調に研究が進んでおり、可変容量直列補償回路の非接触給電に対する効果がまとめられてきている。 ただし、当初の予定とは異なり、送信機としてのインバータを購入予定であったが、目的に合った性能価格のインバータが手に入らなかったため、SiC-MOSFETを用いて新たにフルブリッジインバータを作製し、実験に用いた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究によって、非接触給電システムの1次側にGCSCを用いることで、位置ずれに強いシステムが構築できる可能性が見いだされた。 平成29年度は、この成果を用いて、実際に充電される負荷を模擬して充電を制御する方式の検討を行う。具体的には、バッテリの充電を想定し、充電電圧、充電電流、充電電力等の要求に対し、システムをどのように制御すればよいかのアルゴリズム検討を行う。さらに、位置ずれが発生した場合の非接触給電システムの制御法を検討し、全体システムとしての動作検証が行えるようにする。 これらの検討と並行して、充電電力を300Wから1kW程度以上に大きくするためのコイル設計を、これまでの知見を基に設計し、1kW以上でのシステムの性能検証の準備を始める。また、高電力化に伴って、共振コンデンサの電圧上昇が懸念される為、これに対する対応策を検討し、実現可能なシステムの提案へ結びつける。 また更なる高効率化のため、損失要因の解析を行い、対応方法を検討する。この検討結果によっては、新たなスパイラルコイルの開発や、フルブリッジインバータの更なる高効率運転化の検討が必要となる。これらの結果を総合し、最終的な高効率非接触給電システムの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
高周波インバータを購入する予定であったが、性能価格で満足するものがなかったため、SiC-MOSFETを用いて300W出力のフルブリッジインバータを自作して実験に用いたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に出力1kW以上の非接触給電技術を開発する為、新たに85kHzで高出力のインバータが必要となる。この試作のために用いる予定である。
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Research Products
(2 results)