希土類系分割超伝導バルクの効果的磁気配置を考慮した非接触磁気軸受の基礎研究

2016 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K06211
• Research Institution: Yokohama National University
• Principal Investigator: 山岸 一人 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究教員 (10293177)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 超伝導バルク / 高精度表面磁束分布測定 / 表面画像分析 / 分割可能ライン / 効果的磁気配置 / 非接触磁気軸受

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，RE系（希土類系）超伝導バルクの応用手段に最も現実的と考えられる非接触磁気軸受への実用化についての基礎研究であり，技術的課題として最も大きな障害となっている超伝導バルクの加工技術の問題を解決するための取り組みである．これは，分割されたバルクの効果的な磁気配置を考慮して最適な非接触磁気軸受の設計を行うことを目標としており，平成28年度は以下の３項目について研究を実施し，それぞれの実績について報告を行う．
①高精度表面磁束分布測定の開発：初年度においては，超伝導バルクの分割ラインを見極めるための手法として，最も重要な特性である磁気特性を見極めるために表面磁束分布の測定装置の改良を行った．このサーボシステムと制御の改良により，測定精度を倍にするとともに，測定スピードを速くすることができた．この改良した測定装置を使用して，分割可能ラインの推定検討データを取得することが可能となった．
②表面画像分析：磁束分布測定とは別にバルク表面の高解像度画像を分析するシステムを構築し，表面構造の不均一さやクラック，凹凸の具合などを見極め，バルクの結晶成長による境界ラインの把握を行った．
③バルクの磁界解析：上記①の結果を用いて超伝導バルクの内部電流密度の計算モデルを作成した．
以上，①，②，③で蓄積されたデータを使って，分割可能ラインの推定検討データとした．このデータにより超伝導バルクにダメージを極力与えないような分割ラインを決定する．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

進捗状況については，目標の①高精度磁束分布測定および②表面画像測定については，測定装置の構築およびデータ取得まで行われほぼ達成できているが，②の表面画像測定データについては，サンプル数自体が少ないためH29年度の早期にデータを追加収集する必要がある．また，③の磁界解析によるバルク内部電流密度の計算については，モデルの作成までにとどまっており計算処理後のデータについて十分な検討を行う必要がある．そして，問題の分割可能ラインの見極めについては測定データの数や磁界計算の結果を用いて検討を行う必要があり，現段階では不十分なため見極めるには至っていない．
全体的には若干遅れている実施項目があるが，おおむね今年度のすべての目標に向けて順調に進んでいる．

Strategy for Future Research Activity

H28年度については，一部で目標に達していない項目もあり，若干の遅れが見込まれると考えられるが，H29年度からの新たな目標に向けては，すでにある程度蓄積された測定結果等があるので，そのデータを使って進めていくことが可能と考えられる．また，H29年度は新たな分割加工法を模索する必要があり，極力超伝導バルクの性能を落とすことのないような加工方法を検討する必要がある．この新たな加工装置を開発する期間中にデータサンプル数が不足していた，表面画像のデータ収取と磁界解析を行い，空き時間のないよう効率よくスケジュールを進めていくことによって，若干の遅れを補正できると考えている．この加工試験についても加工装置の完成後すぐに試験が行えるように準備を整えておく．
さらに，得られた研究結果については，国内及び国外の関連学会において研究成果として発表を行うとともに，関連分野の研究者達との意見交換によって研究の方向性について確認を行い，次の目標に進めていく．