2016 Fiscal Year Research-status Report
分散電源・能動的負荷を含む配電系統の動特性モデル構築法と安定度計算への応用
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16K06219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 康之 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (60179033)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 配電系統 / 動特性 / 系統モデル / 系統安定度 / 分散電源 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の分散電源、蓄電池設備やパワエレ機器など能動的に電圧制御・電力制御を行うきのうを持つ機器が導入された配電系統の動特性モデルをオンライン情報から求め、系統解析に応用することを目的としている。 初年度はまず、発電機端子電圧を一定に保つための制御装置であるAVR を作成し、実機のみで構成された模擬電力系統における同期発電機に搭載し、微小擾乱注入実験を行った。AVR のパラメータを3 パターンに変え、実験で得られた測定データからシステム同定を用いてモデルを構築した。その後、同じ系統において三相地絡事故実験を行い、モデルの出力と測定波形を比較した。結果として、有効電力や無効電力のその他のケースにおけるモデル出力波形は測定波形と一致しており、AVR の特性を再現できていた。次に、それぞれの伝達関数モデルのボード線 図からモデルの妥当性を検証した。結果、各パラメータを変えたAVR において、それぞれの周波数特性は電圧に対する無効電力のゲインを表すボード線図に逆ピークとして現れることが分かった。また負荷の固有周波数としては、全ケースにおいてAVR で界磁制御した場合のほうが、界磁一定とした場合より固有周波数が高くなる傾向がみられた。これは作成したAVR が発電機の同期化力の向上に寄与していることを意味しており、AVRを含む系統においても精度よくモデルを構築できたといえる。 また並行して、高速電力制御機器モデルを製作し、模擬系統に接続し動作試験を実施した。今後これらを用いて種々の動特性を持つ配電系統構成を構築し、提案手法を適用して試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案した配電系統動特性測定法を、既存の模擬電力系統(6kVA,220/330V、同期発電機3代、太陽光発電モデル、風力発電モデル、蓄電池モデルなどから構成)に適用し、伝達関数の形で配電系統動特性モデルを構成して、その妥当性を検討するところまで実施できた。概ね予定通りの結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
配電系統モデルの構成を種々変更し、動特性を変化させて、提案手法の適用によって得られる伝達関数モデルの変化を評価する。今後、構成した負荷動特性モデルを系統安定度シミュレーションモデルに導入し、評価を行う予定である。また、伝達関数を組み込んだ固有値解析による安定度解析への展開を行う。
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Causes of Carryover |
購入物品の価格が予定より若干安かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算とあわせて、主に有効無効電力高速制御機器の制御関数を実現する計算機、AD/DA変換ボードなどの購入に充てる予定である。
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