2018 Fiscal Year Research-status Report
高磁場・高温超伝導マグネットの高度電磁場解析技術に関する研究
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16K06222
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
植田 浩史 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (10367039)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高温超伝導 / マルチフィラメント / 遮蔽電流 / 結合電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に,①Bi2223線材を想定したマルチフィラメント薄膜モデルの開発,②幅広い温度・磁場に対する超伝導特性の数理モデルとしてパーコレーションモデルを適用した解析コードの開発,③電磁力解析コードの開発,④簡易解析法の開発を行った。 ①Bi2223線材は,多芯線であるため,遮蔽電流磁場はREBCO線材ほど大きくはないが,フィラメント間がブリッジしている箇所があり,結合電流が流れることが知られており,Bi2223線材をマルチフィラメントの薄板近似を用いて考えた。 ②高温超伝導コイルでは,励磁後の磁場のドリフトの際,超伝導線内の電磁現象が電流-電圧特性に沿って,低電界側にシフトしていくことになる。したがって,磁場の時間安定性を議論するには、超伝導線の幅広い電界領域の電流-電圧特性が必要となる。パーコレーションモデルを適用することにより,従来のべき乗則(n値モデル)とは異なる振る舞いをすることを示した。 ③空間的,時間的に磁場均一性や磁場分布が求められるMRIや医療用加速器などの医療機器への適用に際しては,この遮蔽電流が問題となる。さらに,誘導された遮蔽電流により,テープ線材の幅広面に不均一な電磁力がかかり,テープ線材とコイルの劣化に繋がることが考えられる。そこで,REBCOコイルを対象に巻線内の電磁力解析を行った。 ④既に開発してきた解析技術を“フルスペック”の解析と位置付け、必要精度を満たしつつ、計算の簡素化を図るためのモデル・手法の開発に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に記載通りに進んでいる。 当初の予定通り、マルチフィラメント構造の高温超伝導線材で巻線されたコイルの磁場解析,超伝導の輸送電融特性にパーコレーションモデルを適用した解析、および電磁力解析を実施した。また、高温超伝導コイルの遮蔽電流および電磁力簡易解析法の開発を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の国際会議等で、高磁場高温超伝導コイルの電磁力による劣化がいくつか報告された。そこで、本研究で開発した高温超伝導コイルの遮蔽電流および電磁力の解析コードを利用して、この課題の解明を実施する。また、高温超伝導コイルの遮蔽電流および電磁力簡易解析法の開発も併せて進める。
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Causes of Carryover |
2018年度の国際会議等で、高磁場高温超伝導コイルの電磁力による劣化がいくつか報告された。そこで、研究期間を延長して、本研究で開発した解析コードを利用して、この課題の解明を実施する。さらに高温超伝導コイルの遮蔽電流磁場および電磁力の簡易解析手法の成果とまとめて最終的に、これらの研究成果の発表などを行い、未使用額はその経費に充当する予定である。
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