2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代型多機能カプセル内視鏡に適用可能なマイクロ磁気アクチュエータ技術の確立
Project/Area Number |
16K06228
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
本田 崇 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (70295004)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | カプセル内視鏡 / 永久磁石 / 外部磁界 / 細胞診 / 生検 / 薬剤散布 / 磁気トルク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、診断・治療機能を有する次世代型多機能カプセル内視鏡へ搭載するマイクロ磁気アクチュエータの開発を目的としている。開発を目指すマイクロ磁気アクチュエータは、内部に1個の永久磁石を組み込んだ単純な機構で構成され、外に設置した電磁石やコイルからワイヤレスで駆動することができる。本研究では、次世代型カプセル内視鏡に期待されている細胞診機能、生検機能、投薬機能を取り上げ、それぞれに適したアクチュエータを考案し、試作とブタ小腸を使った評価を繰り返し行った。その結果、いずれのアクチュエータもボルトとナットからなる機構を採用することで、回転磁界によって駆動することに成功した。以下に、成果の概要をまとめる。 (1)細胞診機能:カプセルから細胞診ブラシを突出し、擦過することで消化管の粘液を採取する機構である。交流磁界による磁石の回転振動を利用した従来の機構から、回転磁界を使用した送りねじ型アクチュエータに変更した結果、採取量を増加させるとともに誤動作を格段に低下させることに成功した。 (2)生検機能:ブレード等で組織を採取する機構である。微小なボルトに磁石と円筒形のブレードを取り付けた機構を考案し、回転磁界を印加しカプセル側面から円筒ブレードを回転させながら突出させた。円筒ブレード中心に歯科用のクレンザーを脱落防止機構として取り付けることで、深さ1.5mmまでの組織を採取することに成功した。 (3)投薬機能:薬剤を散布する機構と穿刺で投薬する機構を検討した。薬剤散布機構では、細胞診機能と同じく送りねじ型アクチュエータを採用し、蛇腹状のゴム製薬剤タンクを押すことで薬剤を散布することができた。続いて、散布口に穿刺機構の追加を試み、基本動作の確認を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、カプセル内に収まる大きさで、細胞診、生検、投薬の可能なマイクロ磁気アクチュエータをぞれぞれ開発した。細胞診機能のアクチュエータに機構の見直しがあったものの、いずれも単体において所望の動作を行わせることができ、提案する外部磁界によるワイヤレス駆動の有効性を確認した。また、いずれの機能の成果も学会等で研究発表し、研究成果を公開することができた。これらの内容は交付申請書に記載した初年度に期待される内容であり、本研究はおおむね順調に進展していると判断することができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度は診察や治療を行うためのマイクロ磁気アクチュエータの単機能について動作を確認した。今後の研究では、カプセル型医療機器の多機能化についてその可能性を探る予定である。具体的には、初年度に開発した各機能に対し、器具を部位に合わせる位置合わせ機能、消化管内で行き過ぎた場合に戻る自走機能、その場に留まる停滞機能を追加することを検討する。その方策として、回転磁界の回転面の違いによる個別駆動法を採用予定である。これは、2つの直交する回転型磁気アクチュエータに対し、それぞれに対応した回転磁界で駆動するものである。 この実験には、3次元的に磁界を制御するシステムが不可欠である。そこで本研究では、並行して磁界発生システムの構築を行う。任意の方向に直流磁界、交流磁界、回転磁界を発生でき、それを直感的に操作できるマンマシンインターフェイスを目指す。
|
Research Products
(6 results)