2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Study on Monitoring Abnormality of The High-Temperature Superconducting Coil and Diagnosing Its Soundness
Project/Area Number |
16K06232
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川越 明史 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (40315396)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高温超伝導コイル / 異常診断 / 交流損失 / 臨界電流 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,本研究で提案している異常測定法によって測定するエネルギーフローと巻線の臨界電流の関係を定量的に明らかにするために,実験と解析を進めた。実験では,サンプルと測定ピックアップコイル対の距離が,測定結果に及ぼす影響を調べた。解析では,測定されるエネルギーフローを理論的に求めることができるかどうかを調べた。その結果,数値解析で求めたエネルギーフローと実験値がよく一致し,本研究で提案する臨界電流を推定する手法の有効性を実証した。 具体的にはまず、エネルギーフローから臨界電流を推定する方法が,サンプルと測定用ピックアップコイル対の距離が変わっても適用できるかどうかを調べた。サンプルから1mm,15mm,30mmの位置にピックアップコイル対をセットし,臨界温度を変えるために温度を変えて測定を行った。その結果,測定されるエネルギーフローの絶対値は距離に依存して変化するものの,その磁界振幅依存性を決める中心到達磁界に変化は観測されなかった。これは,交流損失の発生メカニズムから理論的に示される結論と矛盾せず,本研究で提案する方法が,原理的には距離が離れても有効であることを実証した。 次に,実験結果を再現する3次元有限要素法による数値解析を行い、その結果と実験結果を比較した。数値解析では,電界測定用ピックアップコイルで観測される損失性電界にのみ注目して解析を行った。その結果,磁界測定用ピックアップコイルの設置場所をサンプルから十分に離した実験結果と数値解析結果がよく一致することがわかった。このことは,磁界用ピックアップコイルに含まれるサンプルの信号まで考慮すれば,エネルギーフローを定量的に推定できることを示している。すなわち,理論的に求めたエネルギーフローの値から、実用機器で実際にエネルギーフローを測定し、臨界電流を推定する手法が実現可能であることが示された。
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