2017 Fiscal Year Research-status Report
Research and development of a magnetic field sensor based on a quantum phenomena of Cs-133 in MHz-band
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16K06253
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
石居 正典 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50356432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 基 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (00415671)
加藤 悠人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (70635820) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電磁界測定 / 磁界センサ / 低周波 / セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子現象を利用し、原子の構造と基礎物理定数に基づいた次世代型電磁界センサの実現に関する研究を行っている。本センサはガラスセルに収められた気体原子が直接電磁界を受けるため、金属製のアンテナ部分を持たない。なお、ここでは特に磁界と原子の相互作用を利用するため、磁界センサについて検討している。 これまで、申請者自身らが行ってきた先行研究では、周波数がXバンド帯(9.2 GHz)に限定されていた。これは、セシウム原子の基底準位の超微細構造間のエネルギー差に着目していたためであった。 そこで2017年度は、本研究の最大の目的である、この動作周波数帯域の低周波帯域への変更を試みた。対象周波数帯のMHz帯への低周波化に向けては、ゼーマン副準位間のエネルギー差に注目した。本研究では、実験設備における地磁気も含めた静磁界の環境が測定結果に影響する。このため、地磁気等の環境磁界を消磁した後、改めて任意の方向に静磁界を与えることが可能な、磁気シールドBOXと3軸コイルの設備を構築した。 先行研究で得られた基底準位の超微細構造間における原子の吸収スペクトルを観測し、そのスペクトル分裂幅を参考にしながら、3軸コイルにより改めて生成する静磁界を調整することで、ゼーマン副準位間のエネルギー差に該当する低周波磁界の周波数を任意に選択することに成功した。本来の予定では、MHzの周波数帯への低周波化を目指していたが、今回の研究ではkHzの周波数帯までの低周波化が可能であることも分かった。 なお今年度は、本研究課題の研究成果に関連した、国際会議での発表を1件、国内学会での発表を1件行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたMHz帯の周波数よりも、さらに低い周波帯でも実現が可能である事がわかり、また検証する事もできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は2017年度の成果を踏まえて、利用するゼーマン副準位間のエネルギー差に関する、より詳細な追加検証を行う。また、必要なら静磁界を調整する設備への改良も加える。なお、現在までに観測されている結果は、相対的な磁界強度を表した物であるため、磁界強度の絶対値を得るための検討も行う。 また、次年度も本研究課題の研究成果の発信を、学会などにおいて行う事を継続する。
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Causes of Carryover |
(理由) 予算を有効活用するために、可能な物については、できるだけ直接部材を調達して自ら試作を行う方式に切り替えたためである。また、部材の調達に際しても、見積もり競争を行った結果、安価に調達することもできたため。 (使用計画) 前年度に購入や試作した設備でも、さらに追加、改良や仕様変更などが必要である部材もある。 これらの追加、変更、改良による試作及び設計の他、学会参加などでの本研究の成果の発表や関連研究の調査のための旅費にも使用する計画である。
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