2016 Fiscal Year Research-status Report
導電性高分子を用いた電気・化学信号変換素子に関する研究
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16K06267
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
藤井 雅治 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (00127911)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 導電性高分子 / 神経伝達物質 / クロス電位法 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロス電位法を用いて1次側導電性高分子から2次側導電性高分子へのイオン伝達・注入を試みた。伝達に用いたものは神経伝達物質の1つであるL-グルタミン酸で溶液のpH値を制御して負イオンとした。また、導電性高分子(ポリピロール)の合成にもL-グルタミン酸を用いた。2次側導電性高分子へのイオン注入の確認として、2次側導電性高分子を含む回路の電流変化を調べた。 1次側供給導電性高分子にパルス電圧を印加して、イオン放出を行った。これまでは一次側電極には直流電圧印加であったが、放出するイオン量を制御するためにはパルス電圧を用い、パルス回数等によって放出量の定量化を行うことが必要になる。特に入力が2つ以上になる論理素子等を考えた場合、放出量の定量化は重要である。しかし、従来のクロス電位法で2次側導電性高分子への注入は十分になされなかった。クロス電位法は、本来、イオン伝達は拡散だけでなくドリフトも加味されることと2次側導電性高分子への注入でも電位勾配によりイオン注入が効率よくなされる。しかし、イオン放出に用いた電圧がパルス電圧であったため、パルス印加時のみにクロス電位が形成され、他の時間では拡散のみが作用したため、クロス電位法が確立されていなかったためであることが分かった。これを改善するためメッシュ電極を補助電極として用い、常時クロス電圧が印加されるようにした。これによりイオン注入が確認され、効率よく神経伝達物質の放出・注入ができることが分かった。 サイクリックボルタンメトリーの手法を用いた神経伝達物質の移動に関する実験も行い、伝達が可能なことを確かめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロス電位法による2次側導電性高分子へのイオン注入につては補助電極としてメッシュ電極を用いることで達成できた。また、サイクリックボルタンメトリーの手法を改良したものでの伝達方法も確認した。 非線形効果の導入と論理素子としての基本特性に関する実験を行った。これは従来のクロス電位法を用いたもので、注入に上記したクロス電位法にメッシュ電極を補助電極として用いるという改良方法で、さらなる注入が期待されるので、セルの見直しに着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
改良したクロス電位法による2次側導電性高分子へのイオン注入を他の導電性高分子を用いて行う。またサイクリックボルタンメトリーの手法について各電極配置について考察する。 2次側導電性高分子を電解液中で使用するにあたって、回路中での電圧降下が導電性高分子の導電率に影響があることが分かったので、導電性高分子を電極に用いる時の電気的性質の変化について詳細に調べる。 伝達素子、論理素子としての可能性について考察する。
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Causes of Carryover |
導電性高分子を合成するための真空ライン関係の納入が遅れ、年度内に納入されなかったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
真空ラインとその組み立てに使用する。これにより神経伝達物質の伝達に有用な2次側用導電性高分子を合成し、イオン注入の制御を行う。
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Research Products
(4 results)