2018 Fiscal Year Annual Research Report
Enhancement of an anomalous photovoltaic effect in ferroelectric thin films for an optical actuator application
Project/Area Number |
16K06272
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
中嶋 誠二 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80552702)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光起電力効果 / 強誘電体 / BiFeO3 / 光アクチュエータ / 異常光起電力 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、昨年度見出されたカンチレバー先端変位量の理論式との比較を行った。カンチレバー切り出し方向と照射光偏光角から算出したところ、カンチレバー先端変位量は照射光偏向角(φ)に対してsin 2φの形で変化することが見出され、カンチレバー先端変位量の変化と一致した。このことから、本研究で見出した、光誘起歪はバルク光起電力効果と逆圧電効果の結合によるものであると考えられる。 次に、BFO薄膜へのMnドープがその局所構造に及ぼす影響を、放射光を用いた蛍光X 線ホログラフィにより詳しく調べた。蛍光X線ホログラフィは大気中で測定可能でドーパント近傍の原子構造を可視化できる強力な手法である。これにより、ドーパントであるMnおよびFe近傍の局所構造を観察したところ、ドーパントであるMnはFeサイトに置換しており、最近接のBi原子の構造揺らぎを安定化させる働きがあることが分かった。このことはMnドープBFOにおいて絶縁性が向上し、光起電力が大幅に増大したことに関係していると考えられるが、今後さらなる検討が必要である。 本研究では、強誘電体BiFeO3の光誘起歪の観察を目指し、光起電力の向上に取り組んだ。その結果、BFOへのMnドープにより絶縁性が向上し、それに伴い光起電力が増大した。室温において287Vの起電力発生を確認し、90Kは約870Vの高電圧発生を確認した。このMnドープBFO薄膜を用い、カンチレバー構造を作製し、先端変位量の照射光偏光角依存性を確認したところ、最大8μmの変位量が確認でき、その変位量は偏光角(φ)に対してsin 2φの依存性を示し、理論式と良い一致を示した。また、BFOへのMnドープが電子構造と局所構造に与える影響を放射光X線により調べたところ、フェルミレベルの変化と結晶構造の揺らぎを安定化させる効果が確認できた。
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Research Products
(15 results)