2017 Fiscal Year Research-status Report
厚さ方向に磁気異方性が変化する金属-酸化物グラニュラ薄膜のウェットプロセス形成
Project/Area Number |
16K06282
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 直幸 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (90249813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 誠 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (00534455)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グラニュラ薄膜 / 磁気異方性 / 磁場中電析 / Fe-B合金 |
Outline of Annual Research Achievements |
より高周波での電磁波吸収を期待してFe-Co-epoxy合金薄膜の成膜を試みた。その結果、溶液を安定させるための錯化剤を各種検討した結果、グリシンが優れていることが分かった。グラニュラ膜の作製に並行して、磁場中電析による異方性制御の基本的知見を得るために、アモルファスFe-B合金膜の磁場中電析を行った。基板面内方向で磁場の印加方向が正確に制御できるように3Dプリンターを使った専用成膜容器を作製し、電磁石系も新たに作製した。これにより、100mT程度の磁界を印加しながら、10°おきに磁場の印加方向を変更できる装置が構築できた。成膜中に印加する外部磁場の大きさを10mT~100mTまで変化させたが、形成される異方性の大きさは、いずれも異方性磁界が10Oe程度と変化せず、成膜中に印加する磁界では磁気異方性の大きさは制御できないことが分かった。さらに、厚さ方向で異方性の方向が変わる多層膜の作製を目指し、容易軸が直交する2層の膜を磁場中電析法により作製した。異方性が直交する薄膜においてdM/dHの微分曲線を求めると磁化曲線の傾きが変化する2点に極大ピークが現れることが計算によって分かったが、作製した2層薄膜からは1つのピークしか確認されなかった。このようにピークが1つしか観察されなかったのは、異方性分散が大きく異方性方向の保磁力が高いためであることが計算により確かめられた。また,作製した2層薄膜の磁化曲線は測定方向に若干のずれがあり、合計した磁気特性は等方膜にはなっていなかった。これは、1層目と2層目の磁気特性のばらつきか、膜厚のばらつきが原因であると考えた。しかし、作製した薄膜の保磁力は、容易軸方向の保磁力よりも小さくなっており、計算で求めた多層膜による保磁力の減少と同じ傾向を示した。以上のことから、電析法による複合異方性多層膜の作製に成功したと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グラニュラ膜の成膜については、新たに2元金属と高分子のコンポジットの安定成膜条件を確立することができ、一方、磁場中成膜による厚さ方向の磁気特性の制御については、Fe-B合金による2層成膜に成功し、一定のめどがついたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Fe-B合金薄膜の膜厚の制御、補助電極の設置などによる組成ばらつきの解消を行い、 多層膜の成膜を行う。作製した膜の異方性の正確な測定のために、磁気トルクメーターを使った検証を行う。さらに、電磁波吸収特性の測定を行うために、樹脂封入とCu基板の除去を行う予定である。
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Causes of Carryover |
電磁石を内製したので、物件費が予定より安くなった。 国際学会での成果発表などに執行予定である。
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Research Products
(5 results)