2016 Fiscal Year Research-status Report
低温溶液プロセスを用いたペロブスカイト太陽電池の劣化機構の解明
Project/Area Number |
16K06285
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
白井 康裕 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料拠点, 主任研究員 (40465969)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ペロブスカイト / 太陽電池 / 耐久性 / 低温 / タンデム / 劣化メカニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Si系ボトムセル・ペロブスカイト系トップセルの構成で将来的に超高効率2端子タンデム太陽電池を構築可能な、Si系セルと同等の優れた耐久性を示すペロブスカイト材料の実現を目指した。 具体的には、高効率・高耐久性ペロブスカイト太陽電池を、低温・溶液プロセスで実現するための技術開発を推進した。高温熱処理を用いるペロブスカイト太陽電池は、最高で変換効率20%超の報告も存在し、平均でも16%程度の変換効率で、極めて優れた性能が多数報告されている。ただし、ヒステリシス特性の存在やその安定性など、変換効率(瞬間最大値)以外の詳細は不明である場合が多い。さらに、これら金属酸化膜を用いた高性能素子は約500℃弱の高温熱処理が必要な場合がほとんどであり、将来的にSiとのタンデム素子を想定した場合、この様な高温処理は用いる事ができない。 このような状況の中、我々の研究グループは、ペロブスカイト材料の半導体としての特徴捉えるために逆型構造のペロブスカイト太陽電池に着目し、再現性や安定性・耐久性に重点を置いて研究を展開してきた。そして、ペロブスカイト結晶を生成する過程に塩素を添加する相互拡散法(Cl-mediated interdiffusion method)、及び塩化メチルアンモニウム(MACl)中で成膜するMACl treatment手法を開発し、室温程度の状況ならば、1000時間以上の優れた耐久性を有するペロブスカイト太陽電池を低温・溶液プロセスで実現することに成功した。今後はさらに新規インターフェース層の開発とペロブスカイト太陽電池の成膜プロセスの高度化を進め、さらに劣化メカニズムの解明を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規のペロブスカイト成膜処理手法(MACl treatment)やインターフェース層の開発により、大幅に耐久性を向上させて、100℃以下の低温作製のペロブスカイト太陽電池にて、1000時間以上の室温連続発電に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はペロブスカイト太陽電池の劣化メカニズム解明を推進し、より高温での加速試験も取り入れ、さらなる耐久性の向上を図る必要がある。
|
Causes of Carryover |
想定以上の成果が得られてその特許の準備などを優先し、予定していた学会発表(旅費)を見送ったことが大きい。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
得られた成果を特許申請し、学会にて積極的に公開する。
|