2017 Fiscal Year Research-status Report
高性能レアメタルフリーフレキシブル酸化物トランジスタおよび論理回路の開発
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16K06288
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 和郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (30315163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 芳昭 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 総括研究員 (50359387)
金岡 祐介 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (60443537)
村上 修一 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (70359420)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化物アモルファス半導体 / 薄膜トランジスタ / フレキシブルデバイス / ZTO / 熱処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高精細フレキシブルディスプレイの駆動やバイオセンサに応用することを目指し、スパッタリング法により成膜したレアメタルを含まず環境に調和する酸化物材料であるZn2SnO4(ZTO)薄膜を用いて、高性能薄膜トランジスタ(TFT)をフレキシブル基板に作製することである。 本年度は、通常のガラス基板上にZTOを用いたTFTを作製し、精密に雰囲気及び温度を制御することが可能な熱処理炉を用いてポストアニール処理を行った。昨年度の予備実験のデータに基づき、温度は150から300℃の範囲、雰囲気としては大気、窒素、真空中の条件でポストアニール処理を行い、熱処理がTFT特性に与える影響の解明を行った。その結果、ウェットエッチングにより劣化するTFTの特性が、熱処理により改善することがわかった。この効果は、150℃の低温熱処理においても確認された。また、大気中の熱処理により、電界効果移動度は、200℃の熱処理で8±2 cm2/Vs、250℃の熱処理で、12±2 cm2/Vs、300℃の熱処理で13±2 cm2/Vsと目標値を上回る値を示した。Subthreshold swing値も熱処理温度の向上と共に減少した。窒素雰囲気および真空中でも熱処理により電界効果移動度の向上は見られたが、リーク電流の改善は見られなかった。これらのことより、大気中、200℃以上の熱処理がTFTの性能向上に有効であることを明らかにした。 また、フレキシブルガラスOA-10G(厚み100μm)の基板を用いてTFTの作製プロセスの確立を試みた。厚みが薄く、取り扱いが難しいフレキシブルガラスであるが、ガラスの切断方法やレジスト塗布等の課題を一つずつ克服し、TFTの試作を行った。あわせて、ポリイミド基板を用いたTFTの試作も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に熱処理の予備実験を通常のオーブンで行ったことから、精密に温度および雰囲気を制御した熱処理がTFT特性に与える効果について、円滑に実験、評価、解析を行えた事から、計画通りに実験を進めることが出来た。 フレキシブルガラス及びポリイミド基板を用いたTFTの試作については、ガラスの取り扱いや膜にクラックが入るなどの課題が多数出てきた。しかしながら、これまでの微細加工の知見に基づき一つ一つ課題を克服した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた実験データに基づき、熱処理がフレキシブル基板に作製したTFTに対して与える影響について解明する。 また、TFT単体の周波数特性の解明を行う。これらの研究により得られたデータを基に最終目的であるZTOを用いたTFT論理回路及びその集積回路であるリングオシレータを作製する。
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Causes of Carryover |
(理由)今年度の消耗品が予定よりも価格が安く購入できたため、差額が生じた。
(使用計画)次年度は、研究に必要な物品費が見込みよりも高額となっている。このため、差額は物品費として使用する予定である。
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