2016 Fiscal Year Research-status Report
高性能フェライトを活用した小型広帯域UHFアンテナの開発
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16K06299
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 節夫 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30182629)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アンテナ / UHF / フェライト / 広帯域 |
Outline of Annual Research Achievements |
携帯無線端末での地上波デジタルTV放送受信などでは、極めて広帯域に対応できるアンテナが求められているが、広帯域化・小型化・高感度化を同時に満足するアンテナの設計・実現は非常に困難である。本研究は、UHF帯で低磁気損失なフェライト磁性体の活用、および筐体や基板グランドも含む統合的な設計によって、小型で広帯域かつ高アンテナ利得のUHFアンテナの実現とマルチバンド化の可能性を追求することを目的としている。 平成28年度は、アンテナ基本構造の提案とアンテナ特性向上の方策を明らかにした。小形アンテナを実現する方法として、高誘電率の誘電体のみの装荷は、アンテナのQ値を増大させ、帯域幅を減少する傾向がある。一方、磁性体は誘電率と透磁率の両方を持っているので、磁気損失の影響さえ抑制できれば、大きな波長短縮効果とアンテナ効率の向上が期待できる。アンテナ線を誘電体基板とNi-Zn-Cuフェライ板で挟み込んだ構造のアンテナを提案し、有限要素法での電磁界シミュレーションによってアンテナの電気的特性(VSWR、スミスチャート、リターンロス等)とアンテナ特性(放射パターン、アンテナ利得、帯域幅等)をシミュレーションしてアンテナを設計した。その際、1.UHF帯で低磁気損失なフェライトを活用することでの波長短縮効果によるアンテナの小型化を実現するとともに、フェライトの持つμとεでアンテナ放射部と自由空間とのインピーダンス整合をとった、2.磁気損失の影響を受けにくく、良好なアンテナ利得が得られるアンテナ構造に最適化した、3.基板のグランドパターンにスリットを導入して電流経路の実効長を延長させ、グランド面も含めた全体系でアンテナとして高効率に動作させる設計をした、4.インピーダンス整合回路が不要ですむ設計を行った。実際にアンテナの1次モデルを試作して、実用的なアンテナ特性が実現できることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度末時点において、当初、平成28年度に予定していた目的であるアンテナ基本構造を提案するとともに、アンテナ特性向上の方策を明らかにすることについて、特段の問題もなく研究は進捗し、予定通りの成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、当初の計画に沿って研究を推進する。 平成29年度には、平成28年度に行なったアンテナ設計結果をベースに、マルチバンド化実現のためのデュアルモード動作の可能性を追求する。具体的には、逆F型アンテナのモノポールアンテナ動作による1次共振と、アンテナ導体パッドと基板グランドを容量結合させることによるループアンテナ的挙動での2次共振が効果的に起こるアンテナ構造を考案する。 続く平成30年度においては、アンテナエレメント部の長さが45mm以下(スマートフォンに内蔵可能なサイズ)のアンテナを試作して、所望のアンテナ特性(放射パターン、アンテナ利得、帯域幅、マルチバンド動作等)を計測し、目標とするアンテナ性能を実証するとともに、3年間のアンテナの設計・試作・評価を通して、本提案アンテナの基本設計指針を確立する。
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Causes of Carryover |
研究が独自で順調に進捗し、情報収集のための旅費が当初予定よりもかからなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には2次のアンテナ試作を行う計画であるので、その材料費の一部に充てる。
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Research Products
(4 results)