2016 Fiscal Year Research-status Report
状態遷移モデルに基づくレーダ信号処理法とその応用展開
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16K06303
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西本 昌彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (60198520)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | レーダ信号処理 / 非破壊検査 / 非破壊診断 / 埋設物探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,新しい超広帯域レーダ信号処理法の開発と,その構造物非破壊診断や地中埋設物探査への応用展開を行うものである.具体的には,これまで提案してきたレーダ信号処理用の状態遷移モデルをCスキャン計測されたレーダ信号に対して適用し,系列情報を利用することにより高い識別・同定性能を得ること,及び時間応答から得られる位相と振幅パラメータを特徴量とすることにより精度向上を図ることを目的としている.初年度は,信号処理技術の開発・改良,及び非破壊診断のための基礎データの生成を中心に,次の課題に取り組んだ. (1) 計測信号の特徴量とその系列情報処理アルゴリズムの検討 状態遷移モデルを用いた系列情報処理をCスキャンデータに対してどのように適用するかについて検討を行った.また,識別・同定性能を左右する特徴量として位相と振幅パラメータを提案しているが,それに加えて応答のパワースペクトルに基づく特徴量についても検討を行い,その有効性を確認した. (2) 腐食コンクリートのモデル化と数値シミュレーション 応用分野の一つである鉄筋コンクリートの非破壊劣化診断技術では,鉄筋コンクリートの劣化状態とレーダ応答との関係を明確にしておく必要がある.このため,鉄筋コンクリートの腐食状態を単純な構造でモデル化し,このモデルからの応答を解析的に求めることにより,腐食状態と応答との関係を明確にした.この結果は次年度以降に予定している性能評価のための基準データとなる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の進捗状況は概ね計画通りである.年度初めに地震により実験室が被災したため,実験は全て次年度以降に行うように予定を変更し,今年度は理論計算とシミュレーションのみを行った.実験室と機材の一部が使用できなくなったため,次年度以降の実験計画を一部見直す必要が生じているが,当初予定していた計画を大幅に修正する必要はないであろうと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を踏まえて,引き続き信号処理法の改良に取り組むとともに,実測テータの取得に向けて実験の準備を行う.具体的な予定は以下のとおりである. (1) 系列情報処理を用いた識別アルゴリズムの改良 前年度の引き続き,信号処理法の改良を行う.状態遷移モデルには多くのモデルがあり,また多くのパラメータが選択できるため,性能向上のためのモデルの選択とパラメータの選択について検討を行う.また,2次元系列データの処理法について検討を行う. (2) 実験計画の見直しとセンサ用アンテナの設計と製作 地震により実験室が被災したため,実験環境の再整備を行うとともに実験計画を一部見直す.もし性能評価のための計測データを十分収集できない場合は,理論検証のためのデータ取得のみを行い,詳細な性能評価はシミュレーションに委ねることを検討する.
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Causes of Carryover |
地震により実験室が被災したため,当初予定していた実験準備およびセンサアンテナの試作を中止せざるを得なくなった.このため,実験関係で計上していた予算については執行せず,翌年度に繰り越すこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験関係については平成29年度中に実施予定である.繰り越した実験関係の予算はそのままこれに充当する.
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