2016 Fiscal Year Research-status Report
短波長域長周期ファイバグレーティングのセンサーへの応用
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16K06307
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
大橋 正治 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40347505)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光ファイバ / 光ファイバセンサー / 長周期ファイバグレーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ネジと熱収縮チューブと光ファイバからなる簡単に作製可能な長周期ファイバグレーティング(Long period fiber grating)(LPFG)を適用した光ファイバセンサーの特性の解明とそれを利用した低価格なセンシングシステムへの適用性を明らかにすることが目的であり、H28年度は、LPFGの基本的な特性の検討を行った。まずは、このLPFGの偏光依存性について検討を行った。ここでは、実測されたLPFGの透過光スペクトルの特性からLPFGの偏光依存性をあらわす簡単なモデルを提案した。さらに,プレート,ネジとおもりを用いて単純なLPFGを構成し,おもりの重さに対する透過光スペクトルの変化を測定し、この実測結果と提案モデルによる数値計算結果を比較することにより,提案モデルの妥当性を示した。この結果を電子情報通信学会の論文誌に投稿し掲載された。また、熱収縮チューブとねじとカットオフ波長が600nmの単一モードファイバを用いてLPFGを作製し、このLPFGの温度特性を実験的に評価した、特に、LPFGの各共振波長および共振波長の減衰量と温度の関係について調べた。共振波長は、温度増加に対し、高温領域では長波長側にシフトするのに対して、低温領域では短波長側にシフトするのがわかった。この結果を2016年の関西支部大会で発表した。更に、熱収縮チューブとねじを用いたLPFGを作製し、簡単なガス圧センサーへの適用について検討した。ガス圧が、LPFGの共振波長の損失に大きく依存することを明らかにした。この原因は、LPFGにおけるグレーティングの結合係数が空気圧に比例するためであることを明らかにした。この結果をACP2016の国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ネジと熱収縮チューブと光ファイバからなる簡単に作製可能な長周期ファイバグレーティング(LPFG)を適用した光ファイバセンサーの特性の解明とそれを利用した低価格なセンシングシステムへの適用性を明らかにするために、LPFGの偏光特性の明確化および熱収縮チューブとねじから作製した850nm帯のLPFGの温度特性について明らかにしており、今後のセンサーへの適用について明確にできた。また、H29年度以降に実施する予定であった、LPFGの応用として、ガス圧センサーへの適用について検討した結果、ガス圧を測定する光ファイバセンサーとして利用できることを明らかにした。このように提案しているLPFGの光ファイバセンサーの基本特性に関して実験的な確認を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果をもとに、このLPFGの光ファイバセンサーへの応用について検討する。また、特性および構造等の異なるファイバを用いたLPFGを作製し、これらのファイバセンサーへの適用についても新たに検討を進める。また、本年度、基本検討する予定であったセンサー用の光ファイバの設計の課題も、今回の成果をもとに更に詳細に検討を行う。
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Causes of Carryover |
本年度、800nm帯におけるLPFGの偏光特性を実験的に検討する予定であったが、通常の単一モードファイバを用いたLPFGを作製し1550nm帯での実験を行い偏光特性の検討を行い、新たに800nm帯の光源を購入しなかったので未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度、このLPFGの各種センサーへの応用および基本的な特性評価を実施するために、800nm帯の安定なSLD光源の購入をするための経費に充てることにしたい。
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