2016 Fiscal Year Research-status Report
エネルギーアシスト磁気記録方式に適した高性能信号処理方式の研究
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16K06313
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
斎藤 秀俊 工学院大学, 先進工学部, 教授 (60274338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤城 文子 工学院大学, 先進工学部, 教授 (30726724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高密度ディジタル磁気記録 / ビットパターン媒体を用いる磁気記録方式 / 熱アシスト磁気記録方式 / マイクロ波アシスト磁気記録方式 / ビットパターン媒体を用いる熱アシスト磁気記録方式 / 二次元磁気記録方式 / 一般化パーシャルレスポンス方式 / 二次元記録符号 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実績について、【信号処理分野】と【ヘッド・媒体分野】の概要を示します。 【信号処理分野】 ビットパターン媒体を利用する高記録密度ディジタル磁気記録方式について、二次元記録符号と記録エラーを検出及び訂正できる誤り訂正符号を検討しました。その結果、計算機探索により、ほぼ実用的な符号化率14/16の二次元記録符号を具体的に構成し、符号化・復号化における論理式を用いる構成を明らかにしました。次に、この構成した二次元記録符号と組合せる誤り訂正符号として、比較的低計算量の符号化・復号化法を持ち、かつ通信路容量に漸近する性能を有するポーラ符号について、符号長、符号化率などを変えたものを幾つか検討しました。その結果、データを記録するトラック数を2~4とするマルチトラック記録による二次元磁気記録を実現する信号処理方式を新たに検討しました。そして、計算機シミュレーションにより、その誤り率特性を明らかにしました。 【ヘッド・媒体分野】 熱アシスト磁気記録とビットパターン媒体を組み合わせた記録方式において、記録エラーを無くすための記録層上部の磁気異方性磁界とヘッド磁界強度の関係を検討しました。その結果、記録層上部の磁気異方性磁界はヘッド磁界強度の1.5倍以下にすべきであることを明らかにしました。また、マイクロ波アシスト磁気記録方式においては、低注入電流密度、高周波磁界を実現するためにスピン注入層を2層にする検討を実施しました。その結果、新たに付加したスピン注入層は、低磁気異方性、薄膜厚化などの条件にすることで、注入電流密度を 10^12 A/m^2 以下に低減できること、交流磁界の周波数は 30 GHz 以上を実現できることを明らかとしました。さらに、マイクロ波アシスト磁気記録方式の再生波形計算プログラムを作成して、信号対雑音電力比と記録磁化パターンから得られる記録評価結果との関係を明らかにしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度における進捗状況は、全般的には、概ね順調に進展していると考えています。ただし、部分的には、得られた結果やその評価などから、更なる検討や別途の解析をする必要がある所も幾つか存在することが分りました。以下に【信号処理分野】と【ヘッド・媒体分野】について、その詳細を記述します。 【信号処理分野】 ビットパターン媒体を利用する高記録密度ディジタル磁気記録方式について、二次元記録符号と記録エラーを検出及び訂正できる誤り訂正符号の検討をしました。主として、平成28年度は、二次元記録符号や誤り訂正符号の検討を実施しました。このため、コンピュータを用いる符号探索や符号構成、及びその解析結果については、ある程度満足できるものが得られたと考えています。また、これらの符号を用いて、記録エラーに対応できる二次元磁気記録に基づく二次元ディジタル信号処理方式の検討とその評価も、併せて実施することができました。この結果、信号処理分野としては、二次元磁気記録方式を基に、新規の高密度記録システムの提案をすることが出来たと考えています。ただし、記録エラー発生率の評価と再生側でのビットエラーとの因果関係の解明については、必ずしも詳細な解析ができているわけではないため、更なる検討や評価をする必要があると考えています。 【ヘッド・媒体分野】 熱アシスト磁気記録とビットパターン媒体を組み合せた記録方式については、記録密度として 2.5 Tb/in^2 以上を目標に、磁性ドットの大きさは 13 nm 以下で記録エラーを最小化するヘッド磁界、熱、磁性ドットの磁気特性の検討を実施しました。次に、マイクロ波アシスト磁気記録方式においては、低注入電流密度による高周波磁界発生のためのスピン注入層、磁界発生層、記録ヘッドの検討、高周波磁界発生メカニズムの解明をしました。そして、再生波形計算プログラムも作成することができました。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度における研究推進のための方策は、前年度の進捗状況を勘案して、次のように考えています。まず、研究計画の方針に従って、平成29年度以降に進めるべき課題について予定通りに実施する予定です。また、継続課題の事項や考察を必要とする事項についても、同時に解決するように努める予定です。以下に【信号処理分野】と【ヘッド・媒体分野】について、その詳細を記述します。 【信号処理分野】 ビットパターン媒体を用いる記録方式については、平成28年度からの課題となっている記録エラー発生率の評価と再生側でのビットエラーとの因果関係の解明の問題について、更に検討する予定です。特に、媒体の欠陥や書込み時のタイミングに起因する誤りについて、解析を進める予定です。次に、熱アシスト磁気記録とビットパターン媒体を組み合わせた記録方式については、再生波形計算のプログラムが出来次第、記録密度を考慮した上で、二次元磁気記録に基づく信号処理方式の検討をする予定です。また、マイクロ波アシスト磁気記録方式についても、二次元磁気記録に基づくパーシャルレスポンス等化を用いる信号処理方式を検討する予定です。特に、二次元記録符号や誤り訂正符号については、更なる高符号化率のものを実現すること、及び論理回路による符号化・復号化回路の構成についても検討することを予定しています。 【ヘッド・媒体分野】 熱アシスト磁気記録とビットパターン媒体を組み合わせた記録方式については、温度分布を考慮した多層媒体の検討と評価を実施する予定です。また、マイクロ波アシスト磁気記録方式については、多層膜媒体の磁気特性と構造の最適条件の検討する予定であり、再生ヘッドの構造を変えた場合の再生出力の検討も併せて実施したいと考えています。さらに、記録密度を考慮した上で、ビットパターン媒体を用いる記録方式についても、その再生出力の計算プログラムを別途検討する予定です。
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Causes of Carryover |
旅費について、大学側からの補助を受けられたケースも存在したため、1~2回分の旅費が若干余りました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度以降、旅費については、大学側の補助を受けられないケースが多いため、旅費の一部に活用したいと考えています。
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