2018 Fiscal Year Research-status Report
GaN系HEMTにおける電流コラプス現象の抑制と耐圧向上に関する研究
Project/Area Number |
16K06314
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
堀尾 和重 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (10165590)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム / HEMT / 耐圧 / バッファ層 / 深いアクセプタ / 高誘電率膜 / フィールドプレート / 2次元解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Feドープ半絶縁性バッファ層を対象とし,伝導帯下端から0.5 eV程度の位置に深いアクセプタを有するAlGaN/GaN HEMTのオフ状態耐圧特性を計算した。特に耐圧のパシベーション膜比誘電率依存性やゲート・ドレイン間距離依存性を調べた。その結果,パシベーション膜の比誘電率が高いいわゆるhigh-k膜を有する場合に高い耐圧が得られ,またゲートドレイン間距離が長い程高い耐圧が得られた。具体的には,パシベーション膜の比誘電率が60の時,ゲートドレイン間距離が1.5um, 3um及び5umに対し,耐圧はそれぞれ504 V, 932 V, 及び1362 Vとなった。これらは,それぞれゲート・ドレイン間の平均電界強度が3.3 MV/cm, 3.1 MV/cm及び2.7 MV/cmとなりGaNの理論限界3.3 MV/cmに近い値となっている。 また,フィールドプレート構造を有するAlGaN/GaN HEMTの耐圧特性のSiNパシベーション膜厚依存性を計算した。その結果,パシベーション膜が薄くなると耐圧が極端に低下することを見出した。これは,パシベーション膜が薄いとフィールドプレートがゲート電極と同じ働きをし,フィールドプレート端の電界が著しく高くなってしまうためと解釈された。 このほか,SiN膜と高誘電率膜(high-k膜)からなる2重パシベーション膜を有するAlGaN/GaN HEMTの耐圧特性の解析を続け,高い耐圧を得る条件について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AlGaN/GaN HEMTのオフ状態における耐圧を向上させる幾つかの設計指針を与えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
Feドープ半絶縁バッファ層と高誘電率パシベーション膜を有するAlGaN/GaN HEMTの耐圧特性のゲート・ドレイン間距離依存性の解析をこの距離が10um程度となる場合まで続け,耐圧がどの程度向上するか検討する。 フィールドプレートを有するAlGaN/GaNHEMTの耐圧特性のパシベーション膜厚依存性を調べ,この膜厚の最適値について検討する。 2重パシベーション膜を有するAlGaN/GaN HEMTの解析を続け,その設計指針について検討する。
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Causes of Carryover |
研究を精緻化すると共に国際会議発表や論文発表の機会を得るために研究期間を1年延長した。 今年度は主に国際会議発表のための旅費として使用したいと思う。
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