2017 Fiscal Year Research-status Report
メモリスタによる高効率な高調波発生とそのミリ波回路への応用
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16K06315
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
林 等 上智大学, 理工学部, 教授 (70634963)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メモリスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
無線通信回路の局部発振部を構成する周波数逓倍器に用いられている電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor)は高い入力電力を必要とし、消費電力も大きくなる。我々は、DVD や相変化メモリに用いられているGe-Sb-Te系のメモリスタ(Memristor)を用い、バイアスをかけない無給電で高調波を出力し動作するシンプルな逓倍器の作製を目指している。 メモリスタによる高調波発生をミリ波帯で実現するために、本年度は素子の高性能化を達成した。具体的には、SiO2/Si基板上にGe-Sb-Te系のメモリスタを形成し、G-S-G配列の高周波プローブを用いてRF波の通過特性の測定を行ったところ、無給電状態で6次までだった高調波発生を14次まで達成することができた。また、300 MHz程度までであった応答周波数(基本周波数)を1 GHzまで拡張できた。 さらに、計画していた以上の新しい高調波発生の制御手法をもたらすものと位置づけることができる新しい知見を得た。具体的には、バイアス電圧依存性を調べることで、奇数次高調波発生が強い場合と、偶数次高調波発生が強い場合をバイアス電圧印加により制御できることを示した。また、同じバイアス値でも、バイアス印加履歴によって異なる高調波発生を行えることがわかった。 今後は高調波発生のさらなる効率向上を目指し、入出力整合を考慮した回路基板への実装を行い、さらなる素子最適化、性能向上を目指す。また、周波数依存性などについて研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無給電状態で6次までだった高調波発生を14次まで達成することができた。 また、300 MHz程度までであった応答周波数(基本周波数)を1 GHzまで拡張できた。 以上により、上記のように判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は回路基板に実装し、さらなる素子最適化、性能向上を目指す。また、周波数依存性などについて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
高調波発生のさらなる効率向上を目指し、高周波チューナーを購入予定。
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