2017 Fiscal Year Research-status Report
半導体センサのばらつきを利用して捏造できない画像・映像を得る手法の研究
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16K06323
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
白畑 正芳 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (70755850)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CMOSイメ-ジセンサ / ばらつき / PUF / 鍵再生成 / 軟判定 |
Outline of Annual Research Achievements |
CMOSイメージセンサ(CIS)のばらつきを利用して捏造できない画像・映像を得る手法の研究を行っている。昨年度はばらつき抽出方法の提案、得られたばらつきから1/0列生成方法の提案、そしてPUFとしての性能評価を行った。今年度は以下の3点について研究実績を得た。(1)メモリ型PUFであるチャレンジ&レスポンス(C&R)空間の拡大 (2)PUFを鍵として利用する際の鍵生成の効率化に関する研究 (3)CIS PUFの経年劣化に関する研究。 (1)はリングオシレーターPUFで提案されているLG(Lehmer & Gray)法を用いた多ビット化の適用を検討した。Lehmer符号により束ねる出力を増やすと発生できる場合数が増すが、逆にノイズの影響を受けやすく再現性が落ちるトレードオフとなる。認証のエラ-率を確保しつつ8倍程度のC&R空間拡大が可能となることを実デ-タより示した。 (2)は鍵再生成に用いるFuzzy Extractorの符号誤りの軟判定手法をさらに改良した新しい軟判定方式を提案した。これはCIS PUFのビット生成がふたつのばらつき出力の大小により決定しているという特徴を生かしたもの。二つの出力の差分値によりビット信頼度を推定でき、さらに正規分布を仮定して信頼度の精度を確率統計より求め、従来軟判定の信頼度の代用とする。今回の提案で同等の鍵再生能力を得つつ、必要なメモリ量を少なくでき、個体別にビット信頼度を得る手間を省くことができ効率化できるという効果が得られる。 (3)はばらつきを生み出すソースフォロワトランジスタのH.C.劣化寿命による経年劣化はないという結論を得た。ただし、加速実動作のデ-タからH.C.劣化とは逆方向のシフトによるビット反転の上昇が見られた。今後原因究明を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年同様、当研究に協力してもらえるCMOSイメージセンサ開発会社にCMOSイメージセンサ試料を提供いただいた。さらに個別Tr.の測定のためのTEG(Test Element Group)の提供を受け、測定環境も提供いただけた。 ばらつきデ-タ取得後の計算環境はパソコン上でデ-タ処理を行いPUF機能を模擬計算している。昨年からのノウハウ蓄積によりデ-タ処理プログラムの充実化や、複数台のパソコンを用いて効率よくデ-タ処理を行うようにできた。その結果予定どおりの進捗を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ばらつきを用いたPUFとしての性能評価や性能向上のための研究は順調に進められた。さらなる性能向上の研究を行うと共に、今後はCMOSイメージセンサで得られた画像・映像をPUF機能をもたせて守る研究も進める。単純にはPUFから鍵を生成し、それを用いて画像・映像を暗号化することが考えられる。この場合はCISチップ上での計算負荷が増すことが考えられる。CIS PUFはCMOSイメージセンサチップに少しの追加回路でPUF機能を得ている。この追加負担が非常に軽くPUFが搭載できるメリットを維持するために、画像・映像の保護手法に関してもCISの基本動作に即してオーバーヘッドの負担を少なくできるアイデアを創出したいと考えている。 CIS動作に即した考えの一例として、画像取得動作にラインスキャンがあり、それのブランキング期間を利用することなどが考えられる。
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Causes of Carryover |
CMOSイメージセンサの試料、実デ-タの測定環境を共同研究を行っている機関より提供いただいているため、測定関係に係る費用を軽減できた。 今後PUF応用としてFPGAボード活用やMATLABを用いた計算を行う予定であり、ハード面の環境を充実させるための費用がかかる見込み。
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Research Products
(9 results)