2017 Fiscal Year Research-status Report
量子ドットデバイスを用いた熱アシスト磁気記録用ナノ光ヘッドの研究
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16K06328
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
片山 龍一 福岡工業大学, 工学部, 教授 (30610521)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 熱アシスト磁気記録 / 量子ドット / 近接場光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、提案する熱アシスト磁気記録用ナノ光ヘッドを搭載した超高密度ハードディスク装置を実用化し、省エネルギー化や豊かな情報文化社会の実現に寄与することである。熱アシスト磁気記録はハードディスク装置の記録密度向上に不可欠な技術である。熱アシスト磁気記録には熱源となる近接場光を発生するナノ光ヘッドが必要であるが、光の利用効率が低いことが課題である。本研究の研究期間内の目的は、量子ドットを用いた新規な構成により光の利用効率を飛躍的に高めたナノ光ヘッドを実証することである。具体的には、理論解析により本方式の優位性を明確化すると共に最適な構成を導出し、実際にナノ光ヘッドを製作・評価してその有効性を示すことである。 平成29年度には、ナノ光ヘッドの構成の最適化を目的とした電磁界解析のシミュレーションを行った。検討したナノ光ヘッドの構成は、半導体基板上に量子ドットを含むリングレーザーを形成し、その横に金属のナノ光アンテナを設けるというものである。この構成について、電磁界解析のシミュレーションにより、リングレーザーの材質、寸法と固有モード(発振波長、電磁界分布)の関係を導出し、所望の固有モードを実現するための材質、寸法に関するいくつかの有用な設計指針を得ることができた。また、これと並行して、ナノ光ヘッドを実際に製作してその動作(熱アシスト磁気記録)を実験により実証するための準備を進めた。実験に用いる素子は、上記シミュレーションにより得られた指針に基づいて設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初検討したナノ光ヘッドの構成は、半導体基板上に量子ドットを含むメサを形成し、その上に金属のナノ光アンテナを設けるというものであった。しかし、ナノ光ヘッドをハードディスク装置に搭載する際の製造プロセスについて詳細に検討した結果、ナノ光アンテナの位置は半導体基板の上側ではなく横側が望ましいことが判明した。そこで、検討するナノ光ヘッドの構成を、半導体基板上に量子ドットを含むリングレーザーを形成し、その横に金属のナノ光アンテナを設けるというものに変更した。このため進捗がやや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は量子ドットを用いた光の利用効率が高い熱アシスト磁気記録用ナノ光ヘッドを実証することであり、そのためには解析と実験をバランス良く進める必要がある。前者に関しては、引き続き電磁界解析のシミュレーションにより、ナノ光ヘッドにおける光の利用効率等を解析し、ナノ光ヘッドの構成の最適化を行う。また、後者に関しては、解析と並行して、ナノ光ヘッドを実際に製作してその動作(熱アシスト磁気記録)を実験により実証する。なお、本研究には研究協力者として(株)イノバステラ等が参画しており、解析は研究協力者との議論、実験は研究協力者からの支援により推進する。
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Causes of Carryover |
(理由) 主要な物品である熱解析ソフトウェアの金額が当初想定をやや下回ったため。 (使用計画) 次年度分の請求額と上記次年度使用額を合わせ、本研究の研究成果を磁気記録関連の国際会議で発表するための旅費に使用予定である。
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