2017 Fiscal Year Research-status Report
歯科治療用Er:YAGレーザ対応高機能超細径伝送装置の高効率製作法
Project/Area Number |
16K06329
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10361130)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科根管治療において、根管を整形するためにリーマーと呼ばれる外径160 μmの刃物が用いられているが、根管の湾曲が強いと折れたり、菌血症を生じるという問題がある。そこで、硬組織を切削でき、滅菌効果もあるEr:YAGレーザを用いた根管治療を提案する。これまで、赤外光伝送路として、根管に挿入可能な内径100 μm以下の中空ファイバの研究を行い、製作の可能性を示したが、コストは高く、1年程度の製作期間を要した。本申請では、実用化レベルの製作法の開発を目的として、簡易な新手法を用いて、Er:YAGレーザ光を40%以上の導光効率で伝送可能な内径75 μm、外径150 μm、長さ30 mmの超細径中空ファイバを製作し、その先端部を封止加工することにより、根管内で使用可能な先端封止素子一体型超細径中空ファイバの開発を行う。 根管に挿入可能で、Er:YAGレーザ光の照射機能をもつ内径75 μm、外径150 μmの先端封止素子一体型中空ファイバの実用化レベルの製作法を開発する。平成28年度は、超細径銀中空ファイバの簡易な製作法の開発を行い、目標寸法の内径75 μm、外径150 μm、長さ30 mmで低損失な銀中空ファイバの製作を図った。平成29年度は、低損失化用光学膜(ヨウ化銀膜)の最適膜厚0.2 μmを内装したEr:YAGレーザ用超細径中空ファイバの製作を図る。そして超細径中空ファイバの先端部を加熱し先端封止した先端封止素子一体型超細径中空ファイバの製作を図る。平成30年度において、中空ファイバ型テーパ状入射デバイスを設計・製作し、先端素子一体型超細径中空ファイバの入射系の構築を行い、Er:YAGレーザ光と可視パイロット光の伝送特性の評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、超細径光学膜(ヨウ化銀)内装銀中空ファイバの製作を図った。 これまでの研究成果で内径100 μm、外径170 μm、長さ20 cmの超細径銀中空ファイバに、液相法を用いて、低損失化用光学ポリマーである環状オレフィンポリマー(COP)を膜厚0.1 μmで内装したNd:YAGレーザ用中空ファイバを製作した。干渉効果により、波長1.06 μmで銀中空ファイバより低損失となった。この結果を基に、目標寸法の内径75 μm、外径150 μm、長さ30 mmで、光学膜材料をヨウ化銀にして、光学膜厚が2倍の膜厚0.2 μmを内装したEr:YAGレーザ用超細径中空ファイバの製作を図った。効率よく超細径光学膜内装銀中空ファイバを製作するために、厚膜化可能な光学膜材料についても検討を行い重ね塗り可能なシリコンアクリル樹脂を見出したが、Er:YAGレーザの波長帯で若干吸収損が大きいことが分った。内径75 μmの銀中空ファイバ1本に送液する手法は、困難であり、複数本束にすることで、容易なコーティングができないか検討した。7本束にすることで、比較的容易に低損失なヨウ化銀内装銀中空ファイバを製作することに成功した。 ヨウ素溶液濃度は、0.5wt%と1wt%を用い、反応時間は1分で、ヨウ化銀の膜厚0.22~0.27μmとばらつきはあるものの、目標としていたヨウ化銀の膜厚0.2μmを成膜することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度において、中空ファイバ型テーパ状入射デバイスを設計・製作し、先端素子一体型超細径中空ファイバの入射系の構築を行い、Er:YAGレーザ光と可視パイロット光の伝送特性の評価を行う。
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