2017 Fiscal Year Research-status Report
疑似雑音符号系列による知的照明光通信ネットワークの創出
Project/Area Number |
16K06334
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
羽渕 裕真 茨城大学, 工学部, 教授 (90241744)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 照明光通信 / 可視光通信 / 光無線通信 / 多値変調法 / 疑似雑音符号 / ターボ符号 / 強度変調/直接検波 / 階層化変調法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、情報通信ネットワーク、照明ネットワーク、信号現示ネットワークを統合する光無線通信ネットワークシステムに着目する。特に、屋内外をシームレスにつなぐ『疑似雑音符号系列による知的照明光通信ネットワーク』を創出する。平成29年度は『高信頼化性能検討段階』であり、28年度の「基礎的性能検討段階」に引き続き次の成果を得ている。 [1] 調光制御と情報配信を同時に実現できる『疑似雑音符号を用いる符号多値変調法』の高度化について、(a) 本方式に振幅シフトキーイングを取り入れて人間が感じる光量で調光制御を実現した、(b) 隣接照明に異なる拡張プライム符号群を割り当てることにより干渉低減を実現した、(c) 複数の照明光からの疑似雑音符号を用いることによりコード測位を実現した。 [2] 2種類の変調法を融合する光階層化変調法『CSK-MPPM方式』の高度化について、(a) CSKで用いる疑似雑音符号として2重化変形擬直交M系列を提案し、従来方式よりも性能を改善した。さらに、(b) 拡張Einarsson符号による符号対変調法を考案した。(c) 通信距離に応じてSN比が減少し同期タイミングジッタが大きくなり、その影響度を明らかにした。 [3] R,G,B光を用いる『パリティビットストリーム再構築型光ターボ符号』について、(a) 通信路容量を評価し、LDPC符号よりも良好な性能を示すことを明らかにした。(b) 情報ビットとパリティビットを融合する『振幅シフトキ―イングとパルス位置変調法を組み合わせたAPPM』を提案し、従来のターボ符号よりも性能改善可能なことを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は『高信頼化性能検討段階』である。特に、[1] 調光制御と情報配信を同時に実現できる『疑似雑音符号を用いる符号多値変調法』において、人間本位の調光制御、隣接照明光干渉の低減、コード測位を実現した。[2] 2種類の変調法を融合する光階層化変調法『CSK-MPPM方式』において、CSKのための疑似雑音符号(2重化変形擬直交M系列、拡張Einarsson符号)を構築した、さらに通信距離に応じたSN比減少に伴う同期タイミングジッタの影響を明らかにした。[3] R,G,B光を用いる『パリティビットストリーム再構築型光ターボ符号』について、『振幅シフトキ―イングとパルス位置変調法を組み合わせたAPPM』を提案し、性能改善を実現した。これらにより、高度化を実現した。それらの成果は、国際会議論文10件(査読付き)、国内研究会等14件の発表を行った。そのため「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の5点について研究を行う。システム性能は申請設備を利用し、理論解析、計算機シミュレーションにより検討する。その成果を国際会議論文や国内研究会にて発表し、その質疑や聴衆者の反応を基に学術誌論文へと昇華させる。 (1) 平成28年度および平成29年度の成果をもとにすべての考案システムにおける『疑似雑音符号系列の再構築化』を検討する。特に、考案した疑似雑音符号系列((a)拡張プライム符号とアダマール符号を融合した直交符号、(b)擬直交M系列対と陪直交符号を融合した非直交符号)を、各要素システムに特化した符号系列ではなく、統合化を目指して再構築を行う。さらに、オンオフ信号形式に基く光疑似雑音符号の設計指針を明らかにする。 (2) 平成28年度および平成29年度の成果をもとに『調光制御と情報配信を同時に実現できる疑似雑音符号を用いる符号多値変調法』において、光フィンガープリントの導入、平均照度と均斉度を考慮した検討を行う。 (3) 平成28年度および平成29年度の成果をもとに『2種類の変調法を融合する光階層化変調法』を洗練する。特に、受信同期法を再検討し、同期タイミングジッタに性能劣化度を理論解析により明らかにする。さらに大型車両によるシャドウイングの影響を明らかにし、その軽減法を検討する。 (4) 平成28年度および平成29年度の成果をもとに『光無線誤り訂正符号』において、通信容量の観点から検討を行う。さらに、チャネルモデル(屋内、屋外、水中)の違いによる優劣を検討する。 (5) 屋内シームレス化について検討する。準最適なシステムを視野に入れた統合化を検討する。
|