2017 Fiscal Year Research-status Report
通信ログからのTCP輻輳制御方式の推定および悪意の巨大TCPフローの抽出
Project/Area Number |
16K06341
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
加藤 聰彦 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90345421)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | TCP / 輻輳制御 / モニタリング / 通信ログ |
Outline of Annual Research Achievements |
片方向のTCP通信ログ(データセグメントの情報のみを含む)から,そのTCPフローのRTT(往復遅延時間)を推定する技報について検討した.既存研究としては,データセグメントの検出の時間列の情報に対して,時間をずらした場合の自己相関をとる方法と,データセグメントの検出時刻の差の情報列に対して,周波数特性(ピリオドグラム)求め,その極大値を与える基本周波数の逆数をRTTとする方法とが存在する.この内ピリオドグラムを用いる方法に着目し,これまで用いた片方向ログに適用した.その結果,ある程度の精度でRTTを推定することは可能であったが,厳密な推定は困難であることを明らかにした. そこで,これまでとは発想を変え,個々のデータセグメントの検出情報を詳細に調べるのではなく,データセグメントの検出情報を時間の関数ととらえ,通信ログ全体の結果から,シーケンス番号の増加状況を時間の関数として多項式近似する方法を検討した.TCPの輻輳制御アルゴリズムの定義から,シーケンス番号の時間変化は時間の一次式から四次式の範囲で近似できることを指摘し,使用している片方向ログに対して,TCP Reno,CUBIC TCP,TCP Vegas,TCP Venoについて,その近似を行った.さらに,TCP VegasやTCP Venoでは,途中で近似関数が変更される可能性もあることも考慮した.その結果,いずれの方法についても高い類似度で近似が可能であることを明らかにした. 今後はその結果をベースに,片方向ログを用いたTCP輻輳制御アルゴリズムの推定方法の検討を進めたい.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
双方向の通信ログからのTCP輻輳制御アルゴリズムの推定に関しては,方式を考案し,一定の成果を得ている.片方向の通信ログからの推定については,研究実績の概要に示した通り,シーケンス番号の時間変化を時間の多項式で近似するという方法を考案し,それに基づくアルゴリズムの推定方法を検討中である.あと1年でその成果を出すことができると予想している.
|
Strategy for Future Research Activity |
データセグメントの情報のみを含む片方向の通信ログからTCPの輻輳制御アルゴリズムを推定する方法を以下のような手法で確立する. ・通信ログの情報に基づいて,シーケンス番号の時間変化を時間の多項式で近似する. ・近似した多項式の一階微分と二階微分を計算し,その対応をとることにより,双方向ログからの推定方法と同様な手順で推定を行う.
|
Causes of Carryover |
人件費の見積り等に若干の差が生じたため.次年度に使用する.
|