2017 Fiscal Year Research-status Report
送信ループアンテナ係数を利用した液剤中ループアンテナによる近傍磁界強度推定
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16K06342
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石井 望 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50232236)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 情報通信工学 / 比吸収率測定 / 近傍電界推定 / 近傍界送信アンテナ係数 / 液剤 / 電界プローブ / 較正 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、MHz帯を利用する無線電力伝送システムにおける電波の安全性評価指標として、比吸収率(SAR)測定に着目し、その実現に必要となる標準電磁界強度を決定する方法を確立するための理論的検討およびその実験的検証を行うことを目的としている。 平成29年度は、組織等価液剤中において動作する標準アンテナとして微小ダイポールアンテナを使用する場合の問題点について検討を行った。(1) ダイポールアンテナにより生成される標準電界は、簡易水槽(600mmx300mmx300mm)を使用した場合、アンテナより10cm以上離れると、理論値と実験値の間に液面等の影響と思われる差異がみられることから、アンテナより10cm以内で使用する必要がある。また、アンテナより5cm以内においても、理論値と実験値に差異が生じる。このように、標準電界が精度良く得られる範囲が限定されることが明らかになった。(2) 距離の有理関数の形で、標準電界強度に関連する量についてあてはめが可能であることを明らかにした。(3) 平成28年度に実施した標準電界に関する定式化は、ダイポールが波長に比べて十分に小さいことを前提としていたが、実際にダイポールからの放射電力を確保するためには、ある程度の長さ(10cm程度)が必要となる。これは、想定している液剤中の波長に換算して、0.073波長に相当し、先の近似では粗いことが知られている。 そこで高精度プローブ較正を実現するために、マクスウェル方程式に基づく電力伝達公式を利用し、積分近似を用いることなく、標準電界強度を算出できるように定式化を見直しを行った。 このように、平成29年度は、MHz帯無線電力伝送システム用のSARプローブ較正を実現するために必要な要素技術についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織等価液剤中における電界プローブ較正で必要となる標準電界の生成について、簡易水槽内の限定された範囲で実現可能であることを理論、実験の両面から確認した。また、較正の際に必要となる標準電界の距離特性に関するあてはめ関数を見出すとともに、さらに高精度の標準電界較正に必要となる近傍界送信アンテナ係数推定精度の向上についても検討を行っている。このように、最終目標とするMHz帯における液剤中電界プローブ較正法の確立に向けておおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 近傍界送信アンテナ係数および標準電界を求めるための定式化を改善したことに伴う影響評価を行う、(2) ダイポール平衡給電を実現するために使用する180度ハイブリッドの効果について検討を行う、(3) 本標準電界法に関わる不確かさ評価を行う。以上の結果を踏まえて、実際にMHz帯におけるSARプローブ較正を行い、本開発手法の妥当性を確認する。
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Causes of Carryover |
大学の会計システム上、検収は3/31で終了しているが、実際の支払が4月以降となった分(2018年3月出張など)が次年度使用額として繰り越された。
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Research Products
(3 results)