2017 Fiscal Year Research-status Report
強度変調を用いる光無線OFDM方式における周波数利用効率改善
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16K06346
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| Research Institution | Shizuoka University |
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Principal Investigator |
大内 浩司 静岡大学, 工学部, 准教授 (50313937)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 光無線通信 / 直交周波数分割多重 / 強度変調 / 周波数利用効率 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の電波通信で研究されている直交周波数分割多重（OFDM）方式を、光無線通信に応用する研究に取り組んでいる。光無線通信にOFDM方式を応用した従来方式の一つにACO-OFDM方式があるが、ACO-OFDM方式は基本周波数の奇数倍のサブキャリアのみを用いるため周波数利用効率が悪いという欠点を持つ。本研究では、ACO-OFDM方式を多重化する伝送方式を研究している。平成29年度の研究実績の概要を以下に示す。
1. 周波数利用効率を高めるために、二重化したACO-OFDM方式を拡張し、二つ以上のACO-OFDM方式を多重化する研究を進めた。これにより、従来のACO-OFDM方式では利用できなかったサブキャリアの利用可能になり、周波数利用効率の改善が見込める。また、多重化によって引き起こされるサブキャリア間干渉の原理を解析し、送信側で干渉低減する手法を考察した。
2. 一般にOFDM方式では、送信信号において高いピークが発生する。そのため、送信信号のピーク電力の低減が一つの研究課題にとなっている。平成29年度は、CAZAC系列に基づく行列を利用したプリコーディングに着目し、これを送信信号に乗算することによってピーク電力を低減する技術を調査した。また、二重化したACO-OFDM方式にこの技術を適用し、ピーク電力の低減効果や、送信信号電力の変化を調査した。
3. ACO-OFDM方式を多重化することによって得られるOFDM信号は本来一次元の信号であるが、これを二次元に拡張して二次元のOFDM信号とし、これをディスプレイ‐カメラ間通信へ応用することを検討した。特に、ディスプレイを送信機として利用する場合に起こる送信信号の振幅制限と量子化処理に着目し、これらが通信性能に及ぼす影響を調査した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は主に以下の事項を達成した。
1. ACO-OFDM方式の多重化に関する研究：二重化したACO-OFDM方式を拡張し、二つ以上のACO-OFDM方式を多重化する研究を進めた。これにより、従来のACO-OFDM方式では利用することができなかった、基本周波数の偶数倍のサブキャリアの利用を可能にし、周波数利用効率の向上を図った。結果として、従来のACO-OFDM方式の2倍の周波数利用効率が達成できることを明らかにした。また、多重化によって引き起こされるサブキャリア間干渉について検討し、干渉を低減できる信号構成手法を考案した。これにより、受信側での干渉抑圧が不必要になり、受信機における処理を大幅に削減できることを明らかにした。
2. 送信信号のピーク電力の低減に関する研究：従来のACO-OFDM方式におけるピーク電力削減方法の一つとして、CAZAC系列に基づく行列を用いるプリコーディングに着目した。この技術について調査し、この技術を二重化したACO-OFDM方式に適用した。その結果、二重化したACO-OFDM方式においても信号のピーク電力が低減できることが確認できた。さらに、送信に必要な信号電力も低減できる可能性があることがわかった。これは、多重化したACO-OFDM方式の誤り率特性の改善につながるものと予想している。
3. ディスプレイ－カメラ間通信に関する研究：液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）‐カメラ間通信において、多重化空間ACO-OFDM方式の適用を研究した。特に、送信信号の振幅制限と量子化処理が通信性能に及ぼす影響を調査した。その結果、振幅制限レベルを15dBとしたときに、従来の空間ACO-OFDM方式よりもビット誤り率特性が4dB優れることを明らかにした。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度の研究成果を踏まえ、引き続き応用的な内容の研究に取り組む。主に以下の事項に取り組み、強度変調を用いる光無線通信において、省電力伝送と高い周波数利用効率の両立を目指す。
1. さらなる周波数利用効率改善に関する研究：二つ以上のACO-OFDM方式を多重化できることを既に明らかにしているが、さらに周波数利用効率を改善するために、ODFM方式と符号分割多重（CDM）方式の重畳伝送方式の検討を進める。この方式では、送信信号の占有帯域幅は従来のOFDM方式よりも増加しない。その一方で、OFDM方式による情報伝送に加えて、CDM方式による情報伝送が加わることになる。そのため、従来方式に比べて、数サブキャリアあたり数ビットの情報伝送量の増加が見込める。この重畳化によって、1サブキャリアあたりの伝送情報量が増えることになるため、誤り率特性の変化やピーク電力の増加が予想される。そのため、これらの変化についても詳細に調査し、総合的にシステムの性能評価を行う。
2. ピーク電力および送信信号電力の低減に関する研究：平成29年度に行った研究から、CAZAC系列に基づく行列を用いたプリコーディングによって、二重化ACO-OFDM方式においても信号のピーク電力を低減できることが確認出来た。平成30年度も、この方式によるピーク電力の低減の研究を引き続き進める。特に、より多くのACO-OFDM方式を多重化した際にも有効となるピーク低減方式を調査する。またこの技術を用いた場合、ピーク電力の低減効果と同時に送信電力の低減効果も期待できるため、これらを考慮に入れた誤り率特性の解析も進める。
3. 研究の総括：平成30年度が本研究計画の最終年度にあたるため、本研究の総括を行う。
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