2017 Fiscal Year Research-status Report
空間多重光増幅技術を用いた広域・高速制御型光ネットワークの研究
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16K06355
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
増田 浩次 島根大学, 総合理工学研究科, 教授 (60583127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 心 島根大学, 総合理工学研究科, 助教 (60549179)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 利得一定制御 / 空間多重 / マルチコア / エルビウム添加ファイバ増幅器 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速利得一定制御機能を有する空間多重(SDM)広域光ネットワークの実現を目指し、マルチコアEDFAの高速AGC技術、及び分布増幅型光ファイバ増幅技術の理論・実験検討を行った。具体的には、以下の通りである。 半導体光増幅器を用いた全光型フィードフォワード利得一定制御の検討を行った。将来の大容量光伝送システムの実現のため、マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(MC-EDFA)は重要な要素技術である。また、MC-EDFAを用いた光増幅伝送において、利得一定制御技術(AGC)も必須である。我々はこれまでに、AGC回路に半導体光増幅器(SOA)を用いるFF-AGC方式を提案した。緩和時間の短いSOAを用いることにより、利得制御特性の向上および集積化による小型化が期待される。本検討では、SOAを用いたFF-AGC方式の利得制御特性に関する実験検討を行った。その結果、利得偏差は、AGCなしの場合の6.9dBから、本提案AGCを用いることにより、~0.12dBに低減できることを実験により初めて明らかにした。 また、分布ラマン増幅システムにおける自然放出光受光型ラマン利得測定の検討を行った。近年、マルチコアファイバ伝送へのDRA適用を目指した検討が報告されている。マルチコアファイバのDRA伝送システムでは、シングルコアの場合と同様に、敷設状態の伝送ファイバの高感度なラマン利得測定が重要である。本検討では,自然放出光(SE)受光に基づく高感度なラマン利得測定方式(「SE法」と呼ぶ)を新規提案し、その方式に関する基本特性の実験評価を行った。本提案法により、約3.4mW以下の励起光パワーで、約5%以内の精度を有するラマン利得測定が可能あることを確認した。したがって、本提案法では、数mW程度の出力を有するアイセーフなレーザ光源が、励起光源として使用可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に挙げたところのマルチコアEDFAの高速AGC技術、及び分布増幅型光ファイバ増幅技術の理論・実験検討が順調に進んでいる。すなわち、半導体光増幅器を用いた全光型フィードフォワード利得一定制御に成功している。具体的には、SOAを用いたFF-AGC方式の利得制御特性に関する実験検討を行った。その結果、利得偏差は、AGCなしの場合の6.9dBから、本提案AGCを用いることにより、~0.12dBに低減できることを実験検証した。 また、分布ラマン増幅システムにおける自然放出光受光型ラマン利得測定に成功した。自然放出光(SE)受光に基づく高感度なラマン利得測定方式(「SE法」と呼ぶ)を新規提案し、その方式に関する基本特性の実験評価を行った。本提案法により、約3.4mW以下の励起光パワーで、約5%以内の精度を有するラマン利得測定が可能あることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(MC-EDFA)の高速利得一定制御(AGC)に関しては、方式設計の検討及び動特性の明確化を行っていく。特に、実際のコア一括励起がたMC-EDFAを用いた基本特性検証実験を行う。さらに、詳細なシミュレーション及び実験評価を行う。MC-EDFAにおける光増幅及びAGC動作のモデリングとシミュレーション解析を行い、設計技術の確立を目指す。 SDMネットワークにおける分布型光増幅技術については以下の検討を行う。空間多重型励起光専用コアを有する励起光パワー抑圧型遠隔励起EDFAに関し、EDFA入力励起光パワーの向上量特性の明確化を行う。また、DRAとEDFAのハイブリッド光増幅中継システムに対して、トータル励起効率及びOSNR改善特性の明確化を理論及び実験により行う。SDM双方向伝送システムへのDRA適用技術に関して、コア間クロストーク低減効果を明らかにし、ひいてはコア数密度(コア断面積当たりのコア数)向上効果を定量的に明らかにする。 また、本提案技術のコアネットワーク及びメトロ・アクセスネットワークへの適用可能性の理論検討を行う。
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Causes of Carryover |
マルチコアEDFAのAGCの実験検討を実施したところ、予見しなかった雑音特性が生じていることを確認した。その点を踏まえて、本AGCの実験検討の一部を次年度に実施することとし、その実験検討に関する部品購入予算を次年度使用額とした。
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Research Products
(4 results)