2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K06356
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大野 修一 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70273919)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | デルタシグマ変調器 / 量子化誤差 / オーバーサンプリング / 平均自乗誤差 / 最大誤差 |
Outline of Annual Research Achievements |
デルタシグマ変調器はオーバーサンプリングにより量子化誤差を小さくすることができる。一方、オーバーサンプリングは単位時間あたりの情報量を増やす。つまり、誤差の低減化と情報量の増大はトレードオフの関係にある。実際のシステムではこのトレードオフを勘案し、オーバーサンプリング数を決定しなければならないが,理論的な検討はなされていなかった。そこで、このトレードオフの理論的な解析を行っている。量子化誤差の平均自乗誤差を最小にするデルタシグマ変調器が、あるひとつのパラメータを用いて数値的に求められることを証明し、数値例によりその妥当性を示している。この最適デルタシグマ変調器を用いることで、オーバーサンプリングと量子化誤差の平均自乗誤差の関係を明らかにしている。また、線形行列不等式を用いた最適化によるデルタシグマ変調器の設計法を提案している。 量子化誤差の平均自乗誤差とともに重要なデルタシグマ変調器の性能評価に最大誤差がある。最大誤差とは、各時刻の量子化誤差の絶対値の最大値であり、量子化誤差の最大の影響を評価できる。一方、デルタシグマ変調器の安定性を確保するためデルタシグマ変調器の構成要素である一様量子化器におけるオーバーローディングの発生を抑える必要がある。オーバーローディングとは、一様量子化器の入力の振幅が大きくなりすぎオーバーフローにより一様量子化器の誤差がある一定値以上になることである。そこで、オーバーローディングが発生しないようフィードバック信号に制約を課し最大誤差を最小とすることで、オーバーローディングのない最大誤差を最小にするデルタシグマ変調器を設計し、数値例によりその性能を評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画どおり進捗している.成果は国際学術雑誌に掲載できている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でえられたデルタシグマ変調器設計法を利用し、ネットワーク化制御に適した量子化の実現を目指す。具体的には、デルタシグマ変調器を用いてアナログ信号をディジタル信号に変換したとき、ネットワーク化制御システムの制御性能を保障しながら通信量を小さくするため、制御システムからの通信に最適にビットを配分することを考える。
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