2016 Fiscal Year Research-status Report
一線式信号伝送によるグリーンPLCシステムとグリッド・アウェアネスへの応用研究
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16K06360
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
都築 伸二 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 准教授 (60236924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 芳郎 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (00110833) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 一線式信号伝送 / グリーンシステム / スマートグリッド / 電力線通信 / IoT / M2M / スマートEMC / 輸送機械内通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、筆者らが考案した一線式PLCシステムを発展して、信号減衰を低減し高SN比通信路を提供する。これによって超低消費電力(グリーンな)PLC システムという新たな研究領域を提唱する。 その応用例として、電力線の状況(温度や電磁環境)や接続されている電気機器(電力消費量やノイズ発生)の変化を認識する「グリッド・アウェアネス」を挙げ、実現するための信号処理方式を研究している。
EMC(電磁両立性)問題において、ノイズを出す側と受ける側の間でのコミュニケーションができない場合、両立しているかどうかは知りえない。従来のEMC規格では、機器単体のエミッションレベルを規定しても総量は制約されなかった。また、想定していない状況に電磁環境になったときのイミュニティ性能は保証できなかった。今後、自動運転式のロボットに人命を託す機会も増えるであろう。こうした状況下でも安全安心に暮らすためには、「ICT を利活用することによって、もうすこし気の利いたEMC を実現」できないだろうか?という発想に至り、この概念をsmart EMCと呼ぶことにした。10kHz~30MHzまでの帯域であれば、PLC装置に内蔵するchannel推定機能を流用して、伝導および放射ノイズをモニタし、異常を検出する「グリッド・アウェアネス」にて実現可能と考えている。こうした考え方を論文(2017.4)や研究会(2017.4)で発表した。
筆者らが考案した一線式PLCシステムの輸送機械応用として、クレーンのブーム先端とフック間通信への適用研究を行い、国際会議でその結果を発表した(2017.4)。この通信路は低減衰かつ低ノイズであるおかげで、実効スループットは70Mbpsであった。またフック先端に非接触で給電するために、kHz帯を使うことも提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「グリッド・アウェアネス」という概念を固めるために、当初予期していなかったSmart EMCという概念の定義から行うことにしたが、結果としては成果が出始めている。また一線式PLCの応用として当初予定していなかったクレーン応用を先行した。これらにより、当初計画の以下の2点が遅れている。
(1) フロアをまたいで縦方向に配線されているEPS内の幹線ケーブルを利用して、同一フロア内をN-PE方式で伝送されてきた信号を一線式で中継するための装置の開発。 (2) 信号伝搬Delay時間の変動から、電力線ケーブルの温度異常を検出するマイコンシステムの開発。
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Strategy for Future Research Activity |
一線式信号伝送によるグリーンPLCシステムの研究対象を、ビル内通信からクレーンに変更する。ビル内通信の実用性を考慮すると、法律の規制緩和を待つ必要があると考えているためである。それに比べてクレーンの場合はこうした問題が無いと考えており、かつ本研究の学術的課題は共通しているからである。 なお、遅れている電力線ケーブルの温度異常を検出するマイコンシステムの開発は、29年度に精力的に行う所存である。 また、非接触型給電回路については、当初計画どおり29年度に、ただし対象線路をクレーンのホイストケーブルにして実施する。
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Causes of Carryover |
当初、周波数特性分析器(エヌエフ回路設計ブロック社, FRA5097, 200万円)の購入を計画していたが、信号出力端子と受信入力端子のグランドが共通であるため、所望の周波数特性が分析できないことが判明した。両者が分離できるものとして、アンリツ社のベクトルネットワークアナライザ(MS46121A)を選定したが、当該機能の不具合を見つけた。そのファームウェアの改善を確認できたのが2017年2月だったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アンリツ社のベクトルネットワークアナライザ(MS46121A)を2017年度早々に購入する。
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Research Products
(7 results)