2018 Fiscal Year Research-status Report
移動ロボットの集中による輻そうを回避するコグニティブ型マネジメントの実証的研究
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16K06362
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岡 育生 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80160646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アクセスポイント選択 / 選択誤り率 / メトリック / SN比推定 / ユーザ数推定 / バックオフ / CSMA/CA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,CSMA/CAの送信制御におけるランダム遅延のバックオフの観測結果を用いたユーザ数推定を対象とし,ACKの観測による衝突情報の利用の効果ならびにバックオフの凍結を考慮した推定法の開発と,SN比の推定結果とユーザ数の推定結果を用いたアクセスポイント選択法の提案ならびにその評価を行い,研究会,ならびに国内シンポジウムにおいて3件の口頭発表を行った. まず,アクセスポイント選択では,選択のメトリックとして遅延時間を採用した.SN比とユーザ数から遅延時間を解析的に導出できることに着目し,推定したSN比ならびに推定したユーザ数に正規分布の誤差があるものと仮定することで,遅延時間の確率密度関数を求めた.2つのアクセスポイントを対象として,推定誤差に起因するそれぞれの遅延時間の分布から,2つのアクセスポイントの遅延時間の差の平均値である希望成分と,ランダム成分である非希望成分を求め,DU比として評価した.また,このDU比からアクセスポイント選択誤り率を導出し,2つのアクセスポイントの環境と選択誤り率の関係を明らかにした. 次に,ランダム遅延のバックオフの観測結果を用いたユーザ数推定において,ランダム遅延の量と衝突の有無の確率分布をシミュレーションにより求め,ランダム遅延と衝突の観測情報をこの確率分布に適用してユーザ数推定を行った.シミュレーションより推定結果のRMSEが0.08-0.2程度改善されることを確認した.バックオフの凍結あるいは持ち越しを考慮した場合については,シミュレーションで各ユーザのバックオフの確率分布を求め,これを用いて複数ユーザの場合のバックオフの確率関数を求めた.この確率関数を用いてユーザ数を推定すれば,従来,推定できなかったバックオフの凍結がある場合でも,良い精度で推定できることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は,次の3項目より,概ね,計画通りの成果が得られたといえる. ・推定誤差を有するSN比とユーザ数を用いたアクセスポイント選択における選択誤り率の評価を行った。 ・CSMA/CAにおけるバックオフの観測結果を用いたユーザ数推定法において衝突情報を用いて推定精度を改善するとともに,バックオフの凍結を考慮した推定法を開発した. ・これらの結果を2件の研究会ならびに1件の国内シンポジウムにおいて口頭発表により公開した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は,以下の項目の検討を行う. ・アクセスポイント選択:SN比とユーザ数から求める遅延時間で定義したアクセスポイント選択のメトリックを,扱いやすい低次の多項式で表現する.また,SN比,ユーザ数に加えて,パケット長などのより実用的で有効なメトリックのパラメータを検討する. ・ユーザ数推定:CSMA/CAにおける送信制御のためのランダム遅延を用いたユーザ数推定において,バックオフの凍結を考慮したバックオフの確率関数の解析的評価とその推定性能を明らかにする.ユーザ数の時間変化に有効なユーザ数推定法を開発する.
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Causes of Carryover |
今年度は研究会発表,シンポジウム発表,ならびに,技術調査のための出張旅費が多くなると見込んだことから全体の支出を控えた結果,次年度繰越金(+127,045円)が生じた.次年度の旅費の一部として充当する.
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