2017 Fiscal Year Research-status Report
エネルギーハーベスト技術を利用するコグニティブ無線の安定性解析と安定化手法の設計
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16K06363
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
榊原 勝己 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (10235137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武次 潤平 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10405483) [Withdrawn]
高林 健人 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (70803336)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コグニティブ無線 / エネルギーハーベスト / ランダムアクセス / スロット付アロハ / 安定性 / スループット / パケット伝送遅延時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,エネルギーハーベスト技術を利用したコグニティブ無線ネットワーク(CRN+EH)における中継端末のデータ・パケット転送プロトコルとして,無線LANにおいて普及しているIEEE 802.11 DCFを想定し,データ・パケット転送時に発生する衝突を軽減するために規定されているパラメータである競合ウィンドウ値を,転送すべきデータ・パケットを送信した端末からの距離あるいは受信電力に応じて変更する方式を提案した.提案方式の性能(データ・パケットの転送が完了するまでの平均時間など),計算機シミュレーションにより評価した.その結果,選択可能な競合ウィンドウ値を7種設け,{8, 16, 32, 64, 128, 256, 512}とした場合が,中継端末数への依存度が少なく,最も安定した性能を示すことを明らかにした.また,IEEE 802.11 DCFでは,データ・パケットの衝突確率を軽減するために利用されている2進指数バックオフ・アルゴリズムは,CRN+EHにおけるデータ・パケット転送では,必ずしも有効ではないことを示した. 次に,CRN+EH端末に到着するエネルギー・パケットが,端末間で独立一様なベルヌーイ試行としてモデル化できるものと仮定した上で,離散時間マルコフ連鎖によるモデル化を行い,定常状態における性能(スループット,平均パケット伝送遅延時間など)を解析的に求めた.数値計算の結果より,スループットに対して,エネルギー・パケット到着率とデータ・パケット到着率は,対称的な結果を示すこと,エネルギー・パケット到着率が極端に小さい場合は,平均パケット伝送遅延時間が急激に劣化することなどを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コグニティブ無線ネットワーク(CRN)およびエネルギーハーベスト技術(EH)に対し,個別の数理モデル化をすることができた.これを統合し,安定化の解析,設計に着手することが可能となったため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までに個別に構築したコグニティブ無線ネットワーク(CRN)およびエネルギーハーベスト技術(EH)に対する数理モデルを統合した数理モデルへの拡張する.その後,カタストロフィ理論などに基づく安定性解析を行い,安定化手法の設計を行う.そして,計算機シミュレーションおよび実装実験による検証への進む予定である. 予想される課題としては,統合した数理モデル(離散時間マルコフ連鎖モデル)における次元数の極端な増加と,それに対する近似手法の精度の検証が考えられる.
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