2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K06370
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
野口 啓介 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10278103)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アンテナ / 小形化 / 広帯域化 / 折返し構造 / 放射効率 / Q値 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間内の3年間に明らかにする内容として「折返し構造を有する小形アンテナの形状寸法に対するBη積をはじめとする小形化率」,「理論限界値に可能な限り近づけることのできる小形アンテナの構造およびその動作原理」を挙げており,平成28年度の目標は(1)折返し構造を有する小形アンテナの解析と小形化率,(2)3次元放射特性測定ソフトウエアの準備であった. 具体的な取り組み内容は,現在保有する電磁界シミュレータを用いて,折返し構造を有する小形アンテナの数値解析を行い,小形化率を評価すること,3次元放射特性測定ソフトウエアを購入し,既存設備の電波無響室にアンテナ測定システムを構築することであった.これらの当初の目標はおおむね達成でき,(1)について折返し逆L形アンテナ(以下,FILA)の特性解析,試作実験を行うとともに,(2)について市販の3次元放射特性測定ソフトウエアを購入し電波無響室での測定システム構築とFILAの実測を行った.さらには独自の放射特性測定系も構築し,プログラム開発を進め,自作ソフトウエアによるシステムの高度化も進めつつある. 折返し構造を有する小形アンテナの形状寸法と小形化率について,スリットを装荷した小形FILAの放射抵抗,Q値,共振周波数を明らかにした.さらに,その放射効率についても数値解析,試作実験による値を比較検討し,帯域・効率積(Bη積)を算出した.今後,理論限界値との関係を明確化するとともに,小形化率向上のための施策を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間内の3年間に明らかにする内容のうち,「折返し構造を有する小形アンテナの形状寸法に対するBη積をはじめとする小形化率」についてはその内容の約7割を平成28年度中に行うことができた.特に折返し構造を有するFILAについては十分解析を行い,データの蓄積を行うことができた.さらに放射効率の測定が可能となるように測定系を構築し,実測するところまで完成した.今後は小形化率と形状寸法との具体的な関連について数値的,実験的さらには理論的検討を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降の計画として,「3次元放射特性測定ソフトウエアを用いた放射パターン,利得,放射効率の測定」「理論,数値解析および試作実験結果の比較検討」「既存システムに適用可能な小形アンテナの実現」がある.平成28年度中に完成した測定系により放射パターン,利得,放射効率の測定が可能であり,具体的な小形アンテナについて実測によるデータの蓄積と高精度化を図る.理論,数値解析については,FILAをベースとしてメアンダライン,ヘリカルについても検討を行う.それらの試作実験も進め,比較検討する.これらの取り組みを進めるうえで,既存システムである無線LAN,スマートフォンなど具体的アプリケーションを想定してアンテナの構成を検討する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,測定系構築のための費用がやや所要額よりも低かったためであり,約38,000円の残金が発生したことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度予算の残額はわずかであり,平成29年度に予定している測定のための消耗品費,学会参加費,旅費に充当する予定である.
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