2021 Fiscal Year Research-status Report
マルテンサイト相の増えない環境でも使えるステンレス鋼の疲労劣化診断システムの開発
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16K06386
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 勝之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80325240)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非破壊評価 / 疲労 / ステンレス鋼 / 磁性 / 表面改質層 |
Outline of Annual Research Achievements |
①初期磁性センサの疲労抑制機能で主要な役割を果たすマルテンサイト相の硬さを評価する手法を開発した.具体的には,粉末図形法とナノインデンテーションを組み合わせたマルテンサイト相のみの硬さを計測する手法を開発し,予ひずみの異なる試験片でマルテンサイト相の硬さを評価した.その結果,X線回折による半価幅と予ひずみの関係性に近い硬さと予ひずみの関係が得られることが確認された. ②初期磁性センサを実用化するためには,表面研磨などを行わずショットピーニングによって創製した初期磁性センサの機械的特性を非破壊的に評価する手法が必要不可欠である.そこで,①の研究とX線回折法を用いて,初期磁性センサの加工硬化に相当するマクロ硬さを非破壊的に評価する方法を開発し,その精度を評価した.具体的には,X線回折法によってオーステナイト相とマルテンサイト相の半価幅を計測し,①の研究と組み合わせて,マクロ硬さを評価した.その結果,ほとんどの試験片で10%程度の誤差でマクロ硬さを評価できることがわかったが,精度が悪くなる試験片もあったため,今後原因を調査する. ③予き裂を導入した試験片を用いて,表面改質された試験片の表面形状が疲労き裂進展速度に与える影響を破面観察によって調査した.その結果,ストライエーションの面からも試験片の表面形状が疲労き裂進展速度に影響を及ぼすことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナの影響によって,教育エフォートが予想以上に高くなり,研究に大幅な遅れが生じた.コロナによる延長が認められたため,次年度に今年度行えなかった試験を完遂する.
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Strategy for Future Research Activity |
①既に製作した試験片を用いて,室温環境下で疲労試験を行い,ショットピーニング処理で製作された表面改質層センサの疲労抑制機能および疲労度評価機能を評価する. ②同試験片を用いて,温度条件を変えて疲労試験を行い,疲労によってマルテンサイト相の生じない条件下でも疲労度の評価が可能か調査する.
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Causes of Carryover |
146円は返還される.
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