2021 Fiscal Year Research-status Report
実用的1.8μm帯新規光源ならび汎用的in situ光センシング技術確立の研究
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16K06390
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
山田 誠 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10508401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1.7μm帯広帯域光源 / Tm添加ファイバ / ファイバレーザ / 近赤外分光 / 主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究・第1目的は、「1.7~1.9μm帯で動作する実用的な光源基盤技術の確立」、第2目的は、本波長域を利用する新たな「汎用的in situ光センシング技術の確立」である。2021年度における各々の目的に対する成果を以下に示す。 第1目的に関しては、研究代表者が提案してきた本センシングシステム用の光源であるTm添加ファイバ増幅器およびTm添加ファイバレーザの高性能化、高安定化の設計指針を明らかにするために理論的検討と実験的検討を継続して実施した。特に今期はTm添加ファイバの2つの励起波長、1.2μm帯と1.55μm帯の増幅特性における差異に関して検討した。また、1.7μm帯広帯域光源に関する論文掲載を実現した。 第2目的に関しては、プラスチック材に対する評価を進め、①プラスチック材識別のための主成分分析、②プラスチック材の劣化特性評価を行った。①では、アクリル板、ポリカーボネート板、ポリエチレンテレフタレート板、ポリ塩化ビニル板が積層された場合においても評価できること、②では、特定の波長の吸光度変化を観測することで、低密度ポリエチレン、アクリル、アクリルニトリルブタジエンスチレンの劣化進行が評価できる可能性があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「1.7~1.9μm帯で動作する実用的な光源基盤技術の確立」: 初計画で予定していた1.7~1.9μm帯高安定広 域光源技術は、2018年度に完成している。2018年度に完成を計画していた光センシング用半導体レーザ波長可変レーザは、2017年度に実現をしている。2020年度、2021年度は、更なる光源の高性能化を目指した理論的検討を行い、特性シミュレーションを実現した。また、2つの励起波長、1.2μm帯と1.55μm帯の増幅特性における差異に関して検討した。2022年度は、特性シミュレーションや励起波長依存性を考慮して、更なる特性向上を行う予定である。 以上のことより、本項目は 初計画以上の進展をしているものと判断できる。
「汎用的in situ光センシング技術の確立」: 初計画で予定していた「広域光源を用いたアルコール飲料評系の完成」は、上記で記述した光源を用いることで、近赤外分光系による高濃度アルコール飲料の評価が実現できた。「アルコール飲料のin situ光センシング技術の確立」に関しては、同評価に影響を与えるアルコール飲料に含まれるエタノール以外の不純物成分(酸類、糖分)を除去する方法として、部分的最小二乗回帰分析の導入を開始して着実な進展をしている。2018年度から開始する予定であった「波長可変レーザを用いた近赤外分光による日本酒・焼酎中のアルコール濃度評価」も、2017年度から検討を開始している。2020年度、2021年度は、プラスチック材の評価として、プラスチック材識別のための主成分分析、プラスチック材の劣化特性評価を実施し、本開発の近赤外分光系の更なる適応先の拡大を図っている。
以上のことより、本項目も 初計画以上の進展をしているものと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
第1目的である「1.7~1.9μm帯で動作する実用的な光源基盤技術の確立」はほぼ終了している。2020年度、2021年度に実現したシミュレーション技術を用いて、光源の更なる特性向上を行う予定である。 第2目的である本波長域を利用する「汎用的in situ光センシング技術の確立」では、プラスチック材識別のための主成分分析、プラスチック材の劣化特性評価の研究を継続する。 さらに、第1目的及び第2目的で得られた成果報告(学会投稿、論文投稿)を精力的に進める。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの関係で参加予定の学会が2020年度に引き続き中止になり、未使用額が生じた。 2022年度は主に、研究成果報告(学会参加 論文投稿)のために使用する。
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