2016 Fiscal Year Research-status Report
分散型信号推定機構を用いた非線形マルチエージェントシステムの同期追従制御系の構築
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16K06408
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
楊 子江 茨城大学, 工学部, 教授 (30243984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マルチエージェント制御 / 分散型信号推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の動的エージェントが相互作用しながら,大域的な目的を達成するというマルチエージェントシステムの制御は近年注目されている。リーダーの指令値が一部のフォロアー(追従者)エージェントだけに送信され,各エージェントが近傍と交信しながら,協調して指令値に追従するという同期追従制御が活発に研究されている。とりわけ,不確かさを有する非線形実システムの協調制御手法(ロボットの協調制御,分散発電装置の電圧・周波数同期追従など)の確立は,実用上重要であり,発展が期待される。これまでの研究は,簡単な二重積分器モデルを中心に行われてきた。前述の実システムへの応用は,それほど容易ではない。通信ネットワーク行列と不確かな非線形特性が複雑に絡み合い,制御系の設計や性能解析の困難さが顕著になるからである。H28年度の研究成果の意義として,以下のようにまとめられる。 (1)一部のエージェントだけが指令値とその必要次数までの微分を受信できる場合,各エージェントに次数相当の個数の積分器の縦続を設け,指令値の各次数の微分に対応させる。そして,各積分器に分散型有限時間指令値推定器を構築した。 (2)得られた指令値推定値を用いて,不確かさを有する次数の高い非線形システムのロバスト合意追従制御系の構築に成功し,数値例によって,孝行な制御性能が得られることを確認した。 (3)提案手法は,大規模ネットワーク化された現実的なシステム(ロボットの協調制御,分散型発電装置の電圧・周波数同期追従など)の協調制御系への応用が期待される。 研究成果は国際雑誌に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,直接受信できない指令値やエージェントのモデリング誤差や相互干渉などを推定する分散型有限時間信号推定機構を備え持つ実用的分散型ロバスト非線形同期追従制御系を提案した。現有の有限時間安定性理論に基づいた手法の問題点を改善し,推定誤差が初期誤差によらず,任意に短い有限時間内にゼロに収束させることができることに成功した。本課題だけでなく,関連性のある複雑非線形システムの有限時間外乱推定ロバスト制御,分散型システム同定などについても,一定の研究成果が得られ,国際会議に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度の研究成果を踏まえで,さらに下記の問題に拡張する。 (1)非線形特性が強く,不確かさや外乱の影響を受けるロボット群の協調制御系を構築する。分散型指令値推定器性能が協調制御性能に与える影響を評価する。 (2)ロボットなどの移動体の協調制御を行うとき,各ロボットに速度センサーを装備せず,互いの相対位置だけが計測できる場合も少なくない。そこで,各エージェントの相対位置のみを利用した分散型の出力フィードバック協調制御を提案して,性能解析などを行い,手法の確立を行う。具体的には,Kreisselmeier型の状態オブザーバに基づく分散型K-filterを用いて,速度信号を必要としない合意追従誤差ダイナミックスを導出した上で,それについて分散型制御器設計を行う。
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Causes of Carryover |
年度末に文房具などを購入した時に端数が残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残った端数を次年度で文房具の購入に充てる。
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Research Products
(5 results)