2017 Fiscal Year Research-status Report
分散型信号推定機構を用いた非線形マルチエージェントシステムの同期追従制御系の構築
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16K06408
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
楊 子江 茨城大学, 工学部, 教授 (30243984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マルチエージェント制御 / 分散型信号推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
複数の動的エージェントが相互作用しながら,大域的目的を達成するというマルチエージェントシステムの制御が近年注目されている.リーダーの指令値が一部のフォロアー(追従者)エージェントだけに送信され,各エージェントが近傍と交信しながら,協調して指令値に追従するという動機追従制御が活発に研究されている.移動体ロボットなどについては,コスト低減のため,速度センサーを装備せず,また,位置計測においては,絶対位置より相対位置を交換したほうが低コストにつながる.そこで,従来の適応制御で使われていた,速度推定を直接必要としないK-filterの手法をマルチエージェントシステムの相対位置フィードバック制御器に適用して,新しい制御系の構築手法を開発した.その意義として(1)複数の移動体の協調制御を行うとき,安価な相対位置センサーだけでよい;(2)種々の不確かさや外乱が作用するときに,それらを推定し,情報を交換しながら,ロバストな制御系の構築が可能である.研究成果を国際会議論文で公表し,国際雑誌にも投稿している(査読中). ほかに,マルチエージェントによる分散的かつ協調的システムパラメータ手法についても開発した.従来の手法では,入力信号にも雑音がある場合,推定パラメータにバイアス生じるが,ネットワーク上の各推定器がそれぞれ近隣の推定器と情報を交換しながら,バイアスを除去し,普遍推定値を得るアルゴリズムを提案し,良好な結果を得た.研究成果を国際会議で公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の研究は,主に移動ロボットの分散型協調制御の研究に力を入れた.とくに相対位置誤差の情報のみに基づいて,移動ロボット群の同期追従制御手法を提案した.制御性能の解析を行い,誤差の収束時間や終局誤差上界を得ることができた.また,主要課題だけでなく,関連課題の,バイアス補償パラメータ推定に基づいた通信信号処理,分散型パラメータ推定などについても研究成果が得られた.さらに,複雑な外乱を有する非線形システムのロバスト制御手法についても一定の成果が得られ,次年度においては,それらをマルチエージェントシステム制御に生かしたいと計画している.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度の研究成果を踏まえて,さらに以下の問題に拡張する. 現実のシステムは,非線形特性が強く,外乱の影響も大きい.また,外乱やシステム特性の急変が生じた場合,それにいち早く対処し,安全な制御性能を確保する必要がある.例えば,電力網においては,一か所の急変がネットワーク全体に影響を及ぼす恐れがある.そこで,マルチエージェントシステムの協調制御誤差急上昇を強調するような非線形変換を行い,実際の協調制御誤差がある上界を満たすような分散型協調制御器を開発する予定である.
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Causes of Carryover |
学会や研究発表で使うノートパソコンの購入を予定していたが,残額が足りなかったので,翌年度で購入することにした.
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Research Products
(6 results)