2017 Fiscal Year Research-status Report
エージェントの模倣に基づいた多目的進化ゲームダイナミクス
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16K06414
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金澤 尚史 大阪大学, 基礎工学研究科, 講師 (90452416)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | システム工学 / 制御工学 / 多目的ゲーム / 進化ゲーム / 模倣ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,複数の目的を持つ利己的なエージェント集団において,模倣による戦略分布の変化を記述する多目的進化ゲームダイナミクスを定式化し,その性質を明らかにすることを目的とする. 本年度は,エージェントの利得ベクトルの差を,各要素の差の順序付き加重平均として定義することで,単一目的ゲームの利得差比例模倣を多目的ゲームに拡張し,エージェント集団の戦略分布の変化を表す進化ゲームダイナミクスを提案した.順序付き加重平均とは,要素を昇順に並べ替えた上で,重み付き和をとる操作である.最小要素に重み1を割り当てることで最小値を,最大の要素に重み1を割り当てることで最大値を表現できる,幅広い価値判断を含む一般化である. また,提案したダイナミクスの平衡点と,多目的ゲームの均衡解,進化的安定戦略との関係について議論した.特に,p-ノルムに基づくダイナミクスと同様に,任意の重みベクトルに対して,強中立安定戦略が平衡点であること,2戦略ゲームにおいては強中立安定戦略がリアプノフ安定な平衡点であること,進化的安定戦略が漸近安定な平衡点であることを示した. さらに,利得ベクトルの差の最小要素に重み1を割り当てる特殊な状況においては,単一目的ゲームの満たす性質と対応した,制限された均衡と平衡点が一致すること,ナッシュ均衡の多目的ゲームへの拡張である弱均衡が平衡点であること,2戦略ゲームに限定すると,平衡点が弱均衡であることをそれぞれ示した. 一方で,本研究課題の基盤となる,単一目的ゲームにおける模倣に基づく進化ダイナミクスとその制御や,価値観が異なるエージェントが共存する場合のダイナミクス,複数の価値基準の重み付き和に基づいた意思決定を行うエージェントの相互作用のモデルとその工学的応用(アクセスポイント選択に対する応用)に関する研究にも取り組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,エージェントの利得ベクトルの差を,各要素の差の順序付き加重平均として定義することで,単一目的ゲームの利得差比例模倣を多目的ゲームに拡張し,エージェント集団の戦略分布の変化を表す進化ゲームダイナミクスを提案した.また,その基礎的な性質を明らかにすることもでき,概ね順調に進展したと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,平衡点と制限された均衡,弱均衡,進化的安定戦略との関係を明らかにすることができたが,平衡点の安定性については2戦略の場合の議論しかできていない.したがって,一般の戦略数を持つゲームについて,その進化的安定戦略とダイナミクスの平衡点の安定性との関係を明らかにしたい.また,利得差比例模倣だけでなく,成功しているエージェントの戦略を模倣する成功の模倣や,自身の利得が低い時に他者をランダムに模倣する失敗に基づく模倣の多目的ゲームへの拡張についても検討したい. さらに今後は,提案モデルの工学的応用についても検討したい.特に,各ホストが自身のデータの伝送遅延を最小化しようと利己的に行動する利己的ルーティングに対して提案モデルを適用し,エージェントが伝送遅延の最小化のみではなくその時間変動や通信料金の最小化,通信の信頼性の最大化等,複数の目的を持つ場合について議論したい.
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため,当初の見込額と執行額に差が生じてしまった.特に,複数の学会等が当初予定より近隣で開催されたため,当初予定より支出が抑えられた.
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Research Products
(9 results)