2016 Fiscal Year Research-status Report
ネットワーク遠隔サービスロボットの安全性・安定性向上のための接触予見制御の研究
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16K06427
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
内村 裕 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00416710)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 接触予見 / モデル予測制御 / ネットワーク制御 / 時間遅れ |
Outline of Annual Research Achievements |
接触を伴う遠隔操作において通信遅延が生じると、システムの安定性・安全性が大きく損なわれる恐れがある。具体的には、ロボットが対象物に接近し接触した後も、接触したことが通信遅延によって操作者に伝わらず、未だ接触していないと誤認して更に力を付加してしまい、対象物 が脆弱な場合は破損の危険性につながる。 そこで,当年度においては,通信による時間遅れを有するシステムにおいて,スレーブと接触物との距離を考慮したモデル予測制御によって接触時の衝撃を緩和する制御手法の構築に取り組んだ。スレーブ側(遠隔側)に,マスター側(操作者側)の指令の時系列から未来の運動を予測する予測器を配置すると同時に,同運動予測と対象物との相対距離を考慮した制御系を構成した。一般的なモデル予測制御での追従では,マスターとスレーブの位置の偏差に応じてスレーブへの入力を決定するが,提案手法では,時間遅れによってマスターからの指令が遅れ,スレーブが対象物に接触してもなお力を加え続けることを回避するよう制約条件式を設けた。また,スレーブと対象物の相対運動に基づいてダンピング係数を可変とするダンパをマスター側に適用することで対象物との接近を操作者に伝える接触予見制御を構成した。 以上の制御系の有効性を検証すべく,数値シミュレーションを行った。この結果,提案手法では,時間遅れを有する系においても,対象物への接触時の衝撃を緩和しながら接触動作を実現できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
接触予見のための根幹となる方策として,モデル予測制御における拘束条件をスレーブマニピュレータと対象物の相対距離とする手法を考案し,オンタイムで解(制御値)を算出する手法を確立したこと。また,同手法の有効性をシミュレーションによって確認できたことは,計画全体のなかでも大きな前進であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,考案した制御手法を実環境に適用するための実験準備及び実装を行う。具体的には,実験用マニピュレータに実装するためのプログラムの作成,実装のための付帯回路,装置の作成,調整を行う。同時に,マスタ側にモデルを設置し,対象物との距離を含むスレーブ側の状態を予測する予測器による制御系を含む制御系について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費で購入予定であった装置のうち一部が,想定より安価に購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用する物品の購入費用として使用予定。
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