2017 Fiscal Year Research-status Report
感性データを用いた確率システムモデリングに関する研究
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16K06433
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
福田 得夫 追手門学院大学, 経営学部, 教授 (60201745)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 曖昧不規則データ / 不規則性 / 曖昧性 |
Outline of Annual Research Achievements |
人の感性に基づく感性データは、感性特有の曖昧性を有しているが、同じ現象を表現しても、個人毎の揺れを生じる。この揺れを確率現象とみなせば、感性に基づいて表現される現象自体が不規則現象である場合は、得られた感性データは、感性の揺れによる不規則性と、観測対象自体のそれの二重の不規則性を有する「曖昧不規則データ」となる。本研究では、この様な「曖昧不規則データ」を継続的に研究している。 平成29年度は昨年度に引き続き、気まぐれに揺れる人の感性を通して得られる曖昧不規則データのうち2次元データの具体的な取り扱い手法について考察を行った。特に、揺れと曖昧性を伴って識別されるその対象現象自体も不規則である場合の数学的モデルを2次元の場合に限定して、その具体的な推定法と漸近的性質を数値的に検討した。その成果のうち、レベル集合を円盤形に限定した場合についての結果を、英文論文として纏め、国内で開催された国際会議において発表した。 Tokuo Fukuda, On Two-Dimensional Fuzzy Random Data as Vague Perceptions of Random Phenomena, The 49th ISCIE Intl. Symp. on Stochastic Systems Theory and Its Appl., Nov. 4, 2017, Hiroshima, Japan. 上述のような「曖昧不規則データ」は、社会科学分野には多くあるが、十分に活用されている、あるいは理論的根拠が明確な形で処理されているとは思えないことが多い。従って、それら「曖昧不規則データ」を活用する理論的根拠を確立できれば、極めて有用であると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
感性の揺れに着目した曖昧識別としての数学モデルであるファジィランダム集合について、数値的側面から研究を深めることができた。その結果、理論的研究のみでは発見することができなかった数値計算上の問題点が明らかになり、その解決のためにはさらなる知見が必要であることが確認できた。また、これまでの結果を英文論文として纏め、国内で開催された国際学会で発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も多値論理とファジィ集合の集合表現を基本としながら、気まぐれな感性の「揺れ」を確率的変動としてとらえてファジィランダム集合を、また、ファジィ集合の拡張原理を援用しながら、その期待値や分散などの統計学的モーメントについて、さらに精緻に検討したい。 特に、揺れのある感性により「曖昧識別」される現象自体が不規則に変動する場合について、ランダム集合に関する理論を応用した統計学的モーメントの理論結果を確認するために、2次元のファジィランダム集合に対する大数の法則や中心極限定理等の、統計量の推定値に対する漸近的性質について、さらに数値的に検討したい。
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Causes of Carryover |
詳しく数値実験を行うためにより高性能なコンピュータを導入したが、購入したコンピュータの販売価格が値下げされたため、その差額部分の一部が未使用額として残った。未使用額は、元々平成30年度の直接経費を繰り上げたものであり、当初計画した研究経費として使用する予定である。
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