2017 Fiscal Year Research-status Report
PC緊張力が低下したプレストレストコンクリート橋梁の診断技術の開発
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16K06443
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
伊藤 始 富山県立大学, 工学部, 教授 (10553133)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | PC橋梁 / コンクリート / 応力解放 / コア削孔 / 埋込センサ / プレストレス量 / 応力解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
コア削孔による応力解放法に用いるセンサおよび測定法を、既存手法から発展させて、PC橋梁の残存プレストレス量の測定手法とすることを目的としている。当該年度までの研究実績を以下の(1)~(3)に分けて説明する。 (1)計測法の確立: (A)埋込みセンサの標準タイプ(市販の長さ30mmの埋込み型ひずみ計を用いた方式)、(B)ペンシルタイプ(削孔径を小さくした方式)、(C)応力計タイプを検討した。初めに、センサ自体の応答、モルタルに埋め込んだ時の応答を計測し、試作品を作製した。次に、円柱供試体と角柱供試体の中心部を削孔し、各試作センサを埋込んでグラウトを充填して、その供試体に万能試験機で段階的に荷重を作用させた。その結果、(A)と(B)において、コンクリート部とセンサ部の剛性の違いを計算に考慮することで、荷重に対して±20%で計測可能であった。(C)のセンサはひずみ値が小さくなり、形状の変更が必要である。 (2)算定手法の確立: 3次元応力解析を用いて、コンクリートの内部ひずみ(拘束ひずみ、残存PC量、PC鋼材応力)を算定する手法を確立することを目的に実施している。PCの作用応力を変化させて解析を繰り返し、作用応力と内部ひずみなどからコア削孔による応力解放のメカニズムを評価した。 (3)構造物への適用: (A)標準タイプのセンサを用いて、実PC桁から切り出した部材の解放ひずみを計測した。その実PC桁のPC鋼材切断実験を行い、PC鋼材のひずみと解放ひずみがおおむね一致することを確認した。また、3種類のセンサを用いて、PCはりモデル試験体に荷重を作用させた状態でコア削孔実験を実施し、全数の50%を終了した。結果として、解放ひずみが正確に得られる条件があった。一方でセンサが小さくコア径が小さい場合に、コア孔とグラウトの境界面が割れる場合が存在することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の「(1)計測法の確立」において、(C)応力計タイプのセンサに計測誤差があり、改良の必要があるため、(C)応力計タイプセンサの開発の部分が遅れています。 「(2)算定手法の確立」は計画通りに進捗しています。 「(3)構造物への適用」において,はりモデル試験体の実験結果の分析が若干遅れています。一方、実桁の実験を計画に先行して実施しており,両者をあわせて計画通りに進捗しています。 以上から,おおむね順調と自己評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
現状において,大きな課題はない。各項目を以下のように進める予定であります。 「(1)計測法の確立」 平成30年度(C)応力計タイプの改良を行い、要素実験を再度実施します。 「(2)算定手法の確立」 (1)の要素実験と(3)のはりモデル試験の進捗にあわせて応力解析を実施することで,検討を進めます。 「(3)構造物への適用」 平成30年度に,はりモデル試験体のコア削孔実験(前半)のデータ分析を実施する。その分析結果を考察することで、後半の実験を計画し、実施する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の「(3)構造物への適用」のうち、はリモデル試験体を2回に分けて製作していることが主な理由であります。
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