2016 Fiscal Year Research-status Report
温度・載荷経路への依存性を中心としたゴムの力学特性の把握とそのモデル化
Project/Area Number |
16K06465
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
吉田 純司 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (90345695)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ゴム材料 / 多軸変形 / 応力-ひずみ関係 / 構成モデル / 温度依存性 / 速度依存性 / 温度制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,山梨大学で保有している動的3軸試験装置を用い,タイヤ用ゴム材料の多軸試験を実施,様々な経路,振動数,振幅でのゴムの力学特性を把握した.具体的には,常温下において,水平1方向経路に加え,8の字経路,円経路,矩形経路などの2方向経路を設定して,矩形型のゴムに2方向の単純せん断試験を,様々なひずみレベル,振動数レベルで与え,ゴムの各種の載荷条件が,応力進展方向や履歴によるエネルギ吸収性能に与える影響について把握した.その結果,多軸変形を受けると,単軸変形下と比較して履歴ループの形状が変化していき,その傾向はひずみレベルが大きくなると顕著に現れてくることがわかった.なお,今回の多軸試験を行ってみたところ,試験装置のロードセルの性能,および荷重制御時の制御精度について問題があることもわかったため,これらの点については次年度以降に改良していくつもりである. 次に,試験片を一定温度に保つための保温ボックスを開発し,高温および低温での載荷実験をするための設備を整えた.保温ボックスは,多軸変形にも負荷なく追従できるようシリコン系の高分子材料で製作し,それにコンプレッサを使った冷却装置やヒーターなどによる可変温度の空気を与えられるよう設計し,赤外線カメラで温度計測することで,温度の調節を行うものである.この装置についても,現段階では保温ボックスと赤外線カメラとの連結部がまだ未完成であり,これについても次年度に完成させるつもりである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度では,常温でのゴムの動的多軸載荷試験を実施したが,実際に行ってみると様々な不具合が出てきた.そのうち,ほとんどはH28年度内に改善し,そのまま実験を実施して,ゴムの力学特性の多軸経路依存性,振動数依存性,ひずみレベル依存性などを把握することができた.ただし,温度制御を行うための装置については,一部未完成の部分があり,これについては,H29年度に完成させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度については,まず,昨年度に完了していない温度制御装置を完成させることが第一の課題である.これについては,現時点において改善方法もすでに考案し,実際に装置の補正を実施している. 次に,昨年度の実験により得られた多軸変形下での応力-ひずみ関係を用いて,ゴムの構成モデルの構築を行う予定である.このモデル化においては,すでに研究代表者が既往の研究で考案した汎用的な超弾性-粘弾塑性ダメージモデルに改良を加えて適用することを考えている.特に,ゴムが持つ多軸の粘弾性特性を行うために,粘弾塑性部やひずみ依存性を表す関数の改良し,それらに含まれるパラメータの効率的な決め方についても提示する予定である.
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