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2016 Fiscal Year Research-status Report

耐候性鋼橋梁の表面処理皮膜の劣化状況とCr(VI)溶出量の関係解明

Research Project

Project/Area Number 16K06481
Research InstitutionMatsue National College of Technology

Principal Investigator

武邊 勝道  松江工業高等専門学校, 環境・建設工学科, 准教授 (40390489)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords耐候性鋼橋梁 / 表面処理仕様 / 腐食状況 / 部位
Outline of Annual Research Achievements

これまでに複数の耐候性鋼橋梁の腐食生成物を採取し,腐食状況と溶出するCr濃度の分析を行ってきた.その内,特に,表面処理剤が適用された供用後数10年が経過した橋梁の内,膜圧が厚く,腐食の進行が著しい部位から,相対的に高い六価クロムが検出されることが確認された.また,下フランジ上面でその傾向が顕著であった.以上より,表面処理仕様橋梁での相対的に高いクロム溶出は表面処理剤に由来する可能性が高いと考えられる.ただし,現在用いられる表面処理材にはCrが含まれないため,現在から10年以上前に供用された表面処理仕様橋梁について注意が必要であると言える.また,橋梁全体からクロムが溶出する状況にはなく,クロムが溶出する部位は特定の場所および腐食状況に限られている.
腐食の進行が著しい部分からクロムが溶出する要因については,外部からクロムが供給されている可能性も含めて,慎重に検討する必要がある.このため,試験片などを用いた分析が必要となると考えられる.これに関連して,中国山地内の海岸から約50km離れた山間地の橋梁近傍において27年間曝露され続けてきた耐候性鋼の裸仕様の曝露試験片と表面処理仕様の曝露試験片を入手することができた.これまでに,曝露試験片の腐食状況,板厚減耗量,表面処理剤の劣化状況を分析したところである.一方で,裸仕様耐候性鋼からの六角クロムの溶出可能性の有無を確認する目的で,密閉箱の中での試験片の腐食生成物の作成を進めている.腐食条件は,塩化ナトリウム溶液噴霧,塩化カルシウム溶液噴霧,塩化ナトリウム+炭酸ナトリウム噴霧,人工酸性雨噴霧の4水準である.噴霧開始から半年後・1年後に腐食生成物を採取し,クロム溶出量の分析を行う予定である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに12の耐候性鋼橋梁を調査し,腐食状況とクロム溶出量を分析してきた.橋梁数をさらに増やすことが必要であるが,「腐食状況の著しい部位でクロム溶出量が多い」,「ある種の表面処理剤が使われた数10年前に供用された橋梁からクロムが溶出する」という大まかな傾向が掴めつつある.このペースで,さらに分析対象橋梁を増やすことで,表面処理仕様の耐候性鋼のクロム溶出傾向を,さらに,具体的に明らかにすることができると期待される.
また,当初予定していなかった試料として,山間地で27年間自然環境下で曝露されていた耐候性鋼の裸仕様の試験片と表面処理仕様の試験片を入手することができた.この表面処理剤は,これまでの研究でクロムの溶出が確認できている表面処理仕様橋梁に適用されていものと同じである.したがって,裸剤との差を見ることで表面処理剤の影響をより具体的に検討できる他,曝露試験片を下降したりすることで,表面処理剤の劣化状況をより詳細に分析することができると期待される.
さらに,耐候性鋼の裸仕様のからのクロム溶出量の有無の確認のため,密閉箱内での耐候性鋼の腐食試験を開始した.これは,裸仕様橋梁から得られた腐食生成物からクロム溶出が確認されたケースがあったことと,そのクロムの起源が不明であることによる.腐食試験は平成28年の12月から開始した.29年12月に1年かけて作成した腐食生成物が採取でき,これを分析することで,耐候性鋼からのクロム溶出の影響を検討できる.その結果を踏まえ,表面処理剤の影響を議論できると考えられる.

Strategy for Future Research Activity

今後.分析対象とする橋梁数をさらに増やす予定である.特に,表面処理剤の種類の異なる橋梁について分析数を増やし,表面処理剤の種類と溶出の関係を確認する必要がある.加えて,下フランジ上面でのクロム溶出量が高くなる現象の普遍性およびその要因について検討を進めて行く.加えて,橋梁に適応されている表面処理剤の劣化状況の分析方法について検討する必要がある.
一方,山間地で27年間自然環境下で曝露されていた耐候性鋼の裸仕様の試験片と表面処理仕様の試験片については,表面処理仕様の劣化状況をより詳細に分析するとともに,六価クロムの溶出量について分析を行う.その上で,どの段階の劣化状況でクロムの溶出が起こりうるのかを分析して行く予定である.
密閉箱内での耐候性鋼の腐食試験はさらに継続し,曝露開始から半年後となる6月,1年後となる12月に,それぞれの腐食生成物を採取し,腐食状況とクロムの溶出状況の確認を行う.密閉箱内で形成した裸仕様耐候性鋼試験片の腐食状況と山間地で27年曝露された表面処理仕様試験片の塗膜下の腐食状況の比較をいつつ,クロム溶出量との関連を検討することで,表面処理剤の六価クロムの溶出に与える影響について議論を進めて行く予定である.

Causes of Carryover

物件費と人件費(謝金)が当初予算よりも低くなったため,次年度使用額が生じた.学校から配分される教育研究基礎経費で,物件費の一部を賄うことができたことと,データ整理を依頼する予定の学生の時間が充分に確保できなかったことが,使用金額が予算を下回った主な要因である.

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用学は,次年度の物件費とその他(分析依頼費,分析機器使用量)として活用する予定である.申請当初に予定していなかった,試験片を入手することができているため,この分析に関わる費用が増加する予定である.

  • Research Products

    (1 results)

All 2017

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 表面処理仕様の耐候性鋼橋梁の腐食生成物から溶出する環境負荷成分について2017

    • Author(s)
      武邊勝道
    • Organizer
      2017年材料と環境研究発表会(中・四国支部)
    • Place of Presentation
      広島市
    • Year and Date
      2017-03-03 – 2017-03-03

URL: 

Published: 2018-01-16  

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