2018 Fiscal Year Research-status Report
耐候性鋼橋梁の表面処理皮膜の劣化状況とCr(VI)溶出量の関係解明
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16K06481
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
武邊 勝道 松江工業高等専門学校, 環境・建設工学科, 准教授 (40390489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 耐候性鋼橋梁 / 表面処理材 / 腐食劣化状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度には,2018年3月26日~2019年3月22日までの間,平成30年度国立高等専門学校在外研究員としてハワイ大学マノア校にて研究を行うことになり,当研究課題を携わる時間を十分に確保できなかったた.このため十分な研究実績を挙げられていない. 山間地で27年間暴露された表面処理仕様耐候性鋼試験片が曝露されていた耐候性高橋梁から採取した腐食生成物を対象に,X線回折分析を行った.腐食生成物の鉄水酸化物の鉱物組成は,腐食の進行状況と密接に関連していることが確認された.その一方で,六価クロムの検出の有無と腐食生成物の結晶構造との間の関係は不明瞭でだった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2018年3月26日~2019年3月22日までの間,平成30年度国立高等専門学校在外研究員としてハワイ大学マノア校にて研究を行うことになり,平成30年度には,当研究課題を進めることができなかったため,十分な研究実績を挙げられていない.
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Strategy for Future Research Activity |
耐候性鋼の腐食生成物とイオン交換水の浸とう液で高いCr(VI)濃度を示すものは,高いpHを示すことから,平成31年度は,浸とう溶液のpHを高くする原因物質について明らかにする.具体的には,振とう液中の陰イオン組成,炭酸濃度組成を分析し,腐食生成物の含まれる塩を明らかにする.また,その起源について検討する. また,山間地で27年間暴露された表面処理仕様耐候性鋼試験片の内,Cr(IV)が溶出した試験片に絞って分析を行う.平成29年度の分析では,数から数10cm規模での表面処理皮膜の劣化の評価を行なったが,実際の塗膜の劣化状況やCr(IV)溶出状況は数mmスケールで異なっていると考えられる.そこで,平成31年度は数mm規模での塗膜の劣化状況とCr(VI)の溶出の関係を明らかにする.そのことにより,どの段階での,どのような塗膜劣化状況でCr(VI)の溶出現象が起こるのかを明らかにできると期待される.さらに,密閉箱内で行った塩化ナトリウム+炭酸ナトリウム溶液噴霧の腐食促進試験片については,Cr(VI)溶出の有無を再検証するため,振とう溶液を濃縮してCr(VI)濃度の分析を行うことを試みる.その結果から,表面処理剤が塗布されていない耐候性鋼の腐食生成物からCr(VI)が溶出する可能性の再検証を行う. 最終的に,以上の結果をまとめ,表面処理仕様の橋梁で,どのような条件下で表面処理皮膜の劣化や腐食が進行した場合で,表面処理皮膜の劣化がどの程度進んだ段階で,あるいは,腐食生成物中にどのような塩が含まれる状況において,Cr(VI)が溶出するのかを明らかにする予定である.
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Causes of Carryover |
2018年3月26日~2019年3月22日までの間,平成30年度国立高等専門学校在外研究員としてハワイ大学マノア校にて研究を行うことになり,2018年度は申請研究を進めることが出来なかったため. 2019年度は,分析にかかわる消耗品費,分析器使用料,分析補助およびデータ整理のための謝金,情報収集のための旅費に予算を使う予定である.
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