2017 Fiscal Year Research-status Report
土のコンシステンシー限界(wS,wP,wL)のメカニズムに関する研究
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16K06485
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大河原 正文 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80223741)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンシステンシー / X線小角散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線小角散乱実験を行い,含水状態の違いによる粘土鉱物の粒子構造,具体的には底面間隔と粒子の配向性の変化を解析した.その結果,Na型粘土鉱物では粒子構造の著しい変化が認められた.固体状では含水比の増加に伴って底面間隔が1.25nm(1層),1.55nm(2層),1.87nm(3層)と段階的に増加するが,塑性限界付近で4nm(12層相当)へと大幅に増加することが明かになった.塑性状では底面間隔の連続的な増加がみられ,液性限界付近ではd=15nmに達する.液体状では001反射が確認できない.層構造を形成する単位層が剥離し,バラバラの状態,すなわちランダム状態に移行するものと考えられる.また,配向性は,塑性状でより配向する傾向が認められた.Ca型粘土鉱物では,固体状で底面間隔が1.55nm(2層)から1.94nm(3層)へと増加するが,さらに含水比が増加しても底面間隔は増加しない.また,Na型と同様に配向性は塑性状で配向する傾向が認められた.このようにNa型とCa型では配向など粒子構造がダイナミックに変化するのに対し,無イオン型粘土鉱物では粒子構造の変化は認められなかった.層間および周囲に分布する陽イオンが膨潤性粘土鉱物の挙動に大きな影響を与えていることが伺われる.これらの研究成果は,土のコンシステンシーを理解するうえでのミクロ領域での有力な知見となりえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線小角散乱実験より,含水にともなう粘土鉱物の粒子構造の変化(底面間隔・粒子の配向性)を解析した.その結果,層電荷の有無および交換性陽イオン種によって,水との相互作用にともなう粒子構造の変化が異なることを明らかにした.これらの研究成果は,おおむね研究計画通り進んでいることを示している.加えて研究計画にある中性子ビームによる水分子の構造解析に用いる試料の精製,測定補助装置の作製が進行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により,粘土鉱物の粒子構造に関する情報が得られている.今後は中性子ビームによる実験を行うことで,粘土鉱物に作用する水の分布および運動状態が明らかになることが期待される.さらに実験から得られた構造情報に数値計算(分子軌道法・分子動力学法)から得られたエネルギー等を代入し,系全体へと拡張し,コンシステンシーを表現できる法則の解明を試みる.
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Causes of Carryover |
使用予定であった消耗品(窒素)が,予定よりも消費量が少なく残ったため,次年度購入することとした。
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