2016 Fiscal Year Research-status Report
突発的集中豪雨に対する盛土構造物の力学挙動評価手法の提案
Project/Area Number |
16K06497
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Research Institution | Fukushima National College of Technology |
Principal Investigator |
金澤 伸一 福島工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20580062)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不飽和土 / 盛土構造物 / 築堤解析 / 初期応力解析 / 環境地盤工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
土構造物のほとんどは,安定性や変形特性の向上を目的とした締固め土で構成されている.しかしながら既存の構造物の中には,降雨や地震などの外的作用を要因として,その機能の低下が示唆される.それを踏まえ,土構造物の安定に対してリアルタイムに評価できる監視システムの必要性が求められる.また,近年突発的に増加している突発的集中豪雨や,台風に伴う集中豪雨により河川堤防に代表される土構造物の崩壊事例が数多く報告されているが,未だそのメカニズムは十分に解明されていない.そこで本研究では,土構造物の施工~供用後の降雨・蒸発散による盛土内部の応力挙動の変化と,その後の集中豪雨に伴う降雨の浸透~土構造物崩壊に至るメカニズムを解析的に表現することで,長期供用過程での力学挙動の変化を定量的に評価する. まず本年度は,盛土築堤時の排水対策・降雨の影響を受ける時期を重要項目と考えた。通常の現場では,盛土は乾湿の繰り返しといった気候条件に曝されており,不飽和土の挙動による影響を無視することはできない。それゆえ,精緻な初期応力状態を求めるためには,乾湿気候条件による影響を考慮することが必要となり,降雨や蒸発といった乾湿気候条件を考慮して初期応力状態を推定する手法の提案が必要であると考える。 そこで,空気溶存型の不飽和土/水/空気連成有限要素法解析プログラムを用いて,締固めと様々な降雨・蒸発条件を考慮した盛土の初期応力を推定するため,築堤解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は,空気溶存型の不飽和土/水/空気連成有限要素法解析プログラムを用いて,締固めと様々な降雨・蒸発条件を考慮した盛土の初期応力を推定するため,築堤解析を行うことで,築堤中の降雨量の違いが盛土内部の初期応力に及ぼす影響を比較・検討した。 その結果,施工時期の違いにより初期応力状態が変化することが確認された。また,水収支の影響を直接的に受ける斜面に大きな差が見られ,それに伴い築堤完了時で既にすべりのモードを形成する結果となった。 この結果より,盛土の長期的な応力状態をモニタリングする際,重点的な計測器の設置位置の把握に役立つと考えられるため,今後盛土の長期的な性能照査を行う場合の一つの指標になると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行った初期応力解析を素地として,供用開始後の環境変化(集中豪雨など)が盛土に与える影響を解析的に表現する。 また盛土内の応力分布,飽和度分布,間隙比分布の妥当性を検証するため模型実験を行う。模型実験では,小型模型土槽を用いて一定の撒き出し圧,転圧回数の下で築堤過程を表現する。その後,模型盛土内に土圧計・土壌水分計・間隙水圧計を設置する。得られる解析結果と実験結果を比較することにより解析値の妥当性を検討する。
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