2016 Fiscal Year Research-status Report
有明海における栄養塩の輸送プロセスと一次生産システムの解明
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16K06513
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 信博 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50157335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 洪源 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (10599236) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 閉鎖性内湾 / 水質環境 / 赤潮 / 無機態栄養塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
諫早湾では,2015年8月下旬から9月上旬にかけて大規模な赤潮が発生し,漁業被害が報告された.本研究では,諌早湾内において大規模な赤潮が発生した2015年9月4日の10時~14時にかけて,湾内全域25地点において表層水採取を行い水質分析を行った.水質の分析項目は,塩分,クロロフィルa(Chl.a),全窒素(TN),全リン(TP),アンモニア態窒素(NH4-N),硝酸態窒素(NO3-N),亜硝酸窒素(NO2-N),リン酸態リン(PO4-P)である.塩分は塩分計(東亜DKK,CM-21P)を用いて直接測定し,Chl.aは標準分光光度分析方法(Lorenzen法)で求めた. 栄養塩濃度は,オートアナライザー(BLTEC,また,九州農政局による水質データを解析することにより,大規模赤潮発生時の水質特性と大規模赤潮の形成プロセスを明らかにした. 水質観測の結果,得られた成果は以下の通りである. 1) 諫早湾内における大規模赤潮発生領域において,TN,TPはそれぞれ,1.00 mg/l以上,0.10 mg/l以上の大きな値を示しており,TNとTPは主に植物プランクトン由来の有機体窒素と有機態リンによって構成されていることがわかった. 2) 赤潮発生領域においてDINは枯渇するまで消費されていたが,PO4--Pはあまり消費されず,大きな値で残留していた.従って,諫早湾赤潮発生の制限因子は溶存態窒素であることが確認された. 3) 諫早湾内で形成される赤潮の形成プロセスの一つとして,有明海に流出した河川水は一次生産を伴いながら諫早湾内に輸送され,大規模赤潮を形成するという赤潮増殖・輸送プロセスを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度研究において,諫早湾内に発生する赤潮の形成プロセスの1つを提案することが可能となった.
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Strategy for Future Research Activity |
有明海における河川水の流動プロセスを数値シミュレーションによって明らかにし,今回明らかにした赤潮発生プロセスの妥当性を検証する.
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Causes of Carryover |
28年度において予定配分額以下で十分な研究成果が得られたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は,河川水の流動特性や排水門からの排水の流動特性などを明らかにするためのシミュレーションを精力的に行うとともに現地観測を行うために次年度繰越金を使用する予定である.
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Research Products
(2 results)