2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the nutrient transport processes and the primary production systems in Ariake Sea
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16K06513
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 信博 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (50157335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 洪源 山口大学, 創成科学研究科, 助教 (10599236) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 閉鎖性海域環境 / 水質環境特性 / 赤潮発生 / 貧酸素水塊発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
九州農政局は,諫早湾内の6地点(B3, B4, B5, B6, S1, S6)において毎正時,鉛直方向に0.5mの間隔で同時連続水質観測を行っている.観測項目は,水温,塩分,濁度,クロロフィル a(Chl.a)濃度,溶存酸素(DO)濃度である.2002年7月~2017年8月までのこの長期多点同時水質データを解析することにより,諫早湾内の赤潮の指標であるChl. a濃度とDO濃度の長期変動特性を明らかにした.Chl. a濃度として,各観測地点における毎正時の最大値を解析した.DO濃度としては,毎正時における海底面上0.1mと0.5mの値の平均を取り,解析した.Chl. a濃度が40μg/L以上を赤潮と定義し,DO濃度が4mg/L以下を貧酸素状態と定義した. Chl. a濃度の解析結果から諫早湾において赤潮の発生頻度は減少していることが明らかとなった.しかしながら,湾奥部であるS1とS6地点では,冬季において赤潮の発生頻度が突発的に上昇することが見出された. DO濃度の解析から,夏季においてDO濃度は減少し,冬季には上昇する傾向が明らかとなった.重回帰分析により,DO濃度の第一の支配因子は水温であり,水温の上昇によりDO濃度は減少する負の相関が認められた.これは,水温の上昇により,バクテリアの有機物分解が活性化され,酸素消費が促進するためである.第2の因子は密度成層であり,表層と低層の密度差の増加によりDO濃度が減少する負の相関が認められた.これは,密度成層の強化によって表層からの酸素の低層への輸送が抑制されるためである.また,DO濃度に対する底層におけるChl. a濃度の依存性と濁度の依存性は,両者とも非常に小さいことが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)