2016 Fiscal Year Research-status Report
階段状水路におけるnonaerated skimming flowの特性
Project/Area Number |
16K06518
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 正行 日本大学, 理工学部, 教授 (10318363)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 階段状水路 / 乱流境界層 / 射流 / skimming flow / 比エネルギー / エネルギー損失 / 水理構造物 |
Outline of Annual Research Achievements |
急勾配水路の傾斜面を階段状にすることで高速流を水路上で減勢できることは直感的には理解されている.しかし,定量的な減勢量とメカニズムは必ずしも明確とは言えない.階段状水路に大流量の流れが流入したとき,空気混入していない透明なnonaerated skimming flowとなる.さらに,ある程度の距離を流下した後に水面から空気混入し,白色のaerated skimming flowとなる.現在までに研究代表者らの研究によってaerated flowの水深,流速,比エネルギーの大きさはある程度解明された.しかしながら,nonaerated skimming flowにおける階段状水路によるエネルギー減勢効果は不明である.Nonaerated skimming flowの水深,流速,比エネルギーの大きさを予測することが水工設計上重要である.また,nonaerated skimming flowに対して水面形と乱流境界層の発達の解析的計算法は確立されていない. 本研究課題では,nonaerated skimming flowの水深,流速,および境界層発達状態を系統的実験に基づき明らかにし,解析的に水深,乱流境界層厚さ,および比エネルギーを求める手法を開発することを目的にしている. 平成28年度は,水路傾斜角度θ=19°から55°の階段状水路のnonaerated skimming flowを対象に,水深,流速,比エネルギーの大きさについて実験的検討を行った.その結果を用い,乱流境界層厚に関する合理式を示し,さらに水面形方程式を導くことができ,この内容はProceedings of the 37th IAHR World Congress (2017)に掲載可となった.また,nonaerated skimming flowの最下流側断面である空気混入開始位置(以下I. P.と略す)の水理特性(断面平均空気混入率,水深,I.P.までの流下距離)については,国際論文誌等に掲載されているほぼ全ての測定値も含めて検討し,広範囲な水路傾斜角度(θ=18.4°から55°)のI.P.での水理特性を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は水路傾斜角度θ=19°から55°の階段状水路のnonaerated skimming flowを対象に,水深,流速,比エネルギーの大きさについて実験的検討を加えた.その結果を用い,乱流境界層厚に関する合理式を示し,さらに水面形方程式を導くことができた(Proc. 37th IAHR Cong. 2017).また,平成28年度の流速測定は主としてピトー管を用いたものである.さらに,流速の流下方向変化やエネルギー減勢のメカニズムを知るためにレーザー流速計も併用した.しかしながら,レーザー流速計を用いた流速の測定値にノイズの混入が認められ,その除去に時間を要し,得られた測定値はθ=19°の場合のみに限られていた.平成29年度は,θ=30°を対象にレーザー流速計による測定を続ける予定である. Nonaerated skimming flowの最下流側断面直下の空気混入開始断面(I.P.)の水理特性については,θ=19°と30°の階段状水路の空気混入率の測定を行い,水深,流速,空気混入率の特性を明らかにした.また,最近発表された国際論文誌等の空気混入率の測定値を含めて,広範囲な水路傾斜角度(θ=18°から55°)と相対ステップ高さの空気混入開始断面での水理特性を示すことができた. 以上より,本研究課題の研究期間中に対しては,おおむね順調に進展しているものと解釈される.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は階段状水路のnonaerated skimming flowの水面形と乱流境界層の発達状態の解析的計算法の開発を主に行う予定である.また,乱流境界層厚を解析的に求めるために必要な流速分布の詳細を知るため,θ=19°から55°の階段状水路の流速特性について知る必要がある.平成28年度の研究成果によってピトー管で得られた平均流速分布を示すことはできている.これからは,レーザー流速計も用い,これまでに得られている平均流速分布の検証と共に詳細な流速場の検討を行うことを予定している.これまでは,階段状水路を設置し,かつレーザー流速計による測定が可能な水路は一本である.平成29年度は二本の水路による測定が可能となるように水路の調整と補修を行う.
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究成果を平成29年8月に開催される37th IAHR World Congressに論文投稿し,修正原稿の校閲用の費用として予算に計上していた。しかしながら,投稿論文の査読結果が平成29年3月末までに得られず,平成29年4月に修正無しで掲載可となったため,次年度使用額が生じることとなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成30年度に開催予定の7th International Symposium on Hydraulic Structures (ISHS 2018)へ平成29年度中に論文投稿するための費用として使用する計画である.
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Research Products
(4 results)